能登・穴水町新崎 – 能登半島の“奥”への田舎旅、またまた一押しスポットが増えた。
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【お知らせ】ウミネコパーラー 穴水店 閉店 『ウミネコパーラー』穴水町新崎店 閉店、金沢市石引店に完全移転とお引越し ~ 田舎の移住者受け入れ体制ってどうなの? ~ |
湖のように穏やかな海の前にオープンしたかき氷カフェ「ウミネコパーラー」だ。オープンしたばかりだが、週末だけで約100人前後のお客さんが押しかける。
ただ単に、かき氷、コーヒー、焼き菓子を提供しているだけではない。
新たなライフスタイルを物語る… そんなカフェでもある。
「ウミネコパーラー」では、能登町の赤崎イチゴとブルーベリー、オーナーの移住先・穴水町新崎産の“葉とらず”リンゴや、グミなどの果物を活用した果肉贅沢なシロップをトッピングにした「かき氷」や、リンゴと、濃厚なバターケーキを生地にした「ガトータタン」、栗、イチジク、梨、洋梨、桃などの穴水町産かつ季節の果物を使った「スコーン」、「キャロットケーキ」などのお菓子を提供している。
果物は時期によるが、ほぼ100%能登産。
随時、近辺の果物を募集しているので、法人・個人、果物を育てている人は、「ウミネコパーラー」に「こんな果物を育てているけど使ってみない!?」と営業すると良いだろう。
イチゴ、ブルーベリーなどの果物がベースとなっている「かき氷」のシロップは果肉盛沢山!お祭りなどで、よく見かける従来の液状タイプのシロップとはだいぶ異なる。
シロップは通常、3~4種類を用意しているが、赤崎イチゴベースのシロップは6月23日の週末で、“オフシーズン”、終了となるとのことだった。
「ウミネコパーラー」へ行ったら、かき氷は必ず注文したい。
かき氷やお菓子には、サトウキビや甜菜糖(てんさいとう)を使用、着色料や保存料は一切使用しない、無添加。体に優しい地元産の果物にこだわっている。
ケーキなどの焼き菓子で使うベーキングパウダーはアルミとミョウバン(銅)フリーのものを使用している。
まだ試したことはないが、噂によると“桃”シロップがかかった「かき氷」も美味しいとのことだった。
また、新崎産リンゴが盛沢山+濃厚なバターケーキ生地の「ガトータタン」も超一押しである。
コーヒーのタイプは2種類。
ぼくにとってはちょい“深い”かな!っと思う「Cowry(カウリィ)」と、ボンズコーヒーワークスでつくった“深く”さっぱりしている「ウミネコブレンド」も美味い!個人的には、値段が100円安くて、飲みやすい「ウミネコブレンド」がお薦めかなぁ。
金曜と土曜は、夜遅い22:00までオープンしているので、“夜型”の仕事人にもお薦め!
16:00前後から落ち着き始めるので、店の落ち着いた環境を1人で独占できるかもしれない!
【プレオープン日も朝から多くのお客さんや報道陣で賑わう「ウミネコパーラー」。長野県松本市、金沢、和倉、地元の人たちが訪れ、かき氷や焼き菓子を食べていた】
一体、この“かき氷な”看護師とは?!
かき氷カフェ「ウミネコパーラー」をオープンしたのは、茨城県から石川県穴水町新崎(あなみずまち にんざき)地区に移住した現役 看護師の足立秀幸(あだち ひでゆき)くん(37歳)と、婚約者の土倉菜々香ちゃん(19歳)。
菜々香ちゃんが能登に移住して間もないころ、2人はなんと!田舎バックパッカーの移住先・岩車地区にある自宅の畑で開催したバーベキューで出会った!
足立くんは“出会い”を予測していたのか?!“畑”バーベキューに、かき氷機を持ち込み、“筋肉もりもり”で、強そうな腕で、氷をやわらか~く削り始めた。
その一部始終をみた菜々香ちゃんは、足立くんに一目惚れ?!
菜々香ちゃんはわずか数カ月で、岩車地区を去り、足立くんが移住した新崎地区へ…
2人は知らぬ間に、かき氷を一瞬にして溶かすかのような熱く熟した果実のシロップになっていたわけだ。
菜々香ちゃんの岩車への移住ストーリーを速報的にアップしたと思ったら… の出来事だった。(笑) そのストーリーはこちら
まぁ、この2人の出会いストーリーはあくまでも、ぼくが気球のようにどでかく膨らませ、浮かせた“想像”に過ぎないが… きっとそんな熱〜いシナリオだったかと勝手に想像している。
どの地区であろうと、町内で、カップルが誕生するのはホントめでたいことだよね。
足立くんと菜々香ちゃんは、年内に結婚を予定しているそうだ。
で…一体…この『足立くん』って誰なん?!
足立くんは東京生まれの茨城県茨城郡(旧・笠間市)育ち。ちなみに、菜々香ちゃんは金沢出身の羊好き。
従来、看護師と言えば、激務そうな病院勤務をイメージ人が多いだろう。
しかし、これだけ豊かな社会、看護師の職種にも、さまざまな「生き方」「ライフスタイル」がある。
足立くんは基本、「おじぃちゃん・おばぁちゃん好き」、サービス業に従事したいという背景や、看護師は「安定」するというイメージ、「手に職を持つ」ことが強みになると思い、工業系の大学を卒業後、工業とは全く異なる看護の“道”へのスタートを切った。
2006年4月、足立くんは長野県上田市の国立病院機構 長野病院付属看護学校を卒業。
その後、看護師として、東京の「国立病院機構東京医療センター」で4年間、2010年には、長野県へと戻り、松本市の「まつもと医療センター中信松本病院」で、夜勤含め、4年間勤務した。
在宅医療分野の“道”へ… “幸せに生涯を終える”
今現在、在宅医療/訪問看護の分野にいる足立くんだが、その分野に入った理由は、病院勤務のときに、重病の患者さんが「人生の終わり」を「病院で過ごす」ことに疑問を感じ始めたからだった。
病院勤務時、「家に帰りたい」と願う重病の患者さんが多いが、その願いは届かず、「病院で亡くなる人」を沢山見てきた。
患者さんにとっては、自分の家は「自身の“故郷”」だ。“家”で「生涯を終えることに幸せ」があると強く感じ始めていた。
しかし、病院では、“縛られてしまい”、医者が言うことが“絶対”だ。医者も患者さんを家に帰らせてあげたい気持ちは山々だと思うが、重病で「死」が近い人を家へと帰らせるリスクを選択するわけにはいかない。言うまでもないが、医者にも“責任”がある。
それは仕方がないことではあるわけだが、足立くんは「これでは、幸せに生涯を終えることができないのでは…」と思い始めていたのだった。
そんな日、足立くんは、重病のおじぃちゃんの面倒をみていたおばぁちゃんと出会った。看病していたのは、おじぃちゃんとおばぁちゃんの自宅だ。
おじぃちゃんは本来、焼肉などの“重い”ご飯は控えなければいけなかったが、「おじぃちゃんが幸せなら」と、おばあちゃんはなんでも飲み食いをさせていたそうだ。
「本当はダメなんだけどね… だけど、おじぃちゃんは、自宅で本当ハッピーに、安らかに満足して亡くなっていったよ」とおばぁちゃん。
訪問看護・在宅・地域医療では、「幸せに生涯を終え」「満足できる“最後”を追求できる」と深く思い始めたのが、このおばぁちゃんの話しを聞いたときだった。
【新崎地区も見守る看護師の足立秀幸くん。地域から信頼を得ている】
かき氷との出会い
『かき氷』との出会いは、長野県松本市の「まつもと医療センター中信松本病院」勤務のときだった。
2014年3月、かき氷の“食べ歩きマニア”で、地域活性関連のプロジェクトに携わる酒井和彦さん(現在59歳)と出会った。スキューバダイビングの事業を立ち上げ、酒井さん含めた数人スタッフで億単位の売り上げまで成長させた。「経営」の経験もある酒井さん。
その当時、「“なんらか”商業を展開してみたかった」足立くんは副業的な形で、欧州の家具販売ビジネスを始めていて、その事業の相談で、知人から酒井さんを紹介され、親しくなっていった。
とある日、ファミレスで酒井さんから「かき氷屋をやってみないか?」という話しに。
【2018年6月9日(土)の「ウミネコパーラー」プレオープンに駆けつけてくれた長野県松本市在住の酒井和彦さん】
足立くんはその場で早速、売り上げや利益の見込みなどを計算し、事業開始を即決断。酒井さんは、足立くんを支援して、かき氷機の費用半分 約2万円を投資。
足立くんはネットを介して、かき氷機をすぐに購入した。その思い出あるかき氷機は現在も、「ウミネコパーラー」で使っている。
「やるぞ!と思ったこと」に対するアクションが早い足立くん。
かき氷事業の勉強のために、東京などで、1日3~4杯のかき氷を食べ歩くこともあった。欧州家具からは一旦手を引き、かき氷ビジネスをスタートしたのだ。
その当時、シロップはジャム屋さんから仕入れるなどして、松本市内で開催されたイベントで露店したり、“週一カフェ”をオープンするなどして“かき氷屋”を始めた。
酒井さんは心臓の弁膜症を抱えている。足立くんは自身の勤務先の病院 患者さんに対して「重病を抱える患者さんが亡くなる前に、患者さんたちが『行いたいことをサポートしてあげたい』が、できない…」というジレンマを抱えていた同時期に、酒井さんと出会った。
酒井さんが“かき氷好き”、重い病気を抱えている背景から、「酒井さんが好きなかき氷の店を開きたい」「亡くなる前になにかをしてあげたい」「叶えてあげたい」という気持ちが、「当時は全く気付かなかったが、潜在的に自身の中で芽生えていたのかもしれない」と話す。酒井さんは、足立くんの患者さんではなかったが、足立くんにとってはあらゆるタイミングが合致した複雑な時期だったわけだ。
そんなこんなで、足立くんの「看護師」と、「かき氷屋」としての「半看護師×半かき氷屋」のパラレル“キャリア”、“働き方”の人生が、“がりがり”と滑り始めたのだった。
在宅看護と“移住”そして…「ウミネコパーラー」オープンへ
足立くんは、看護師の中でも、自宅で幸せな人生を追及できる患者の居場所「家」が中心となる地域医療/在宅看護の分野を目指したく、2016年4月、石川県内灘に位置する金沢医科大学 大学院に入学するために、長野県松本市をあとにし、次のステージへと“旅”にでた。
大学院の看護学部 地域生活支援看護学部で、在宅医療について勉強を始めたのだ。
大学院に通っている期間にも、“移住”という「人生の転機」と遭遇した。
2016年8月、穴水総合病院が開催した「あなみず地域医療塾」に参加し、穴水町へ。
輪島から沖合50キロ先にある「舳倉島診療所」へ通うなど、地域医療に熱心で“僻地医療”にも携わっていた松井先生と穴水病院で出会い、自身が向かうべき道は地域医療と再確認。
その期間中、町の散歩コース「潮騒の道(しおさいのみち)」を歩いているときに、深く心を打たれる“夕日”に癒され、穴水町への移住を考え始めた。
金沢医科大学 在学中、穴水町へと行く機会も増え、ときには、かき氷の出店も行った。
2017年5月、地元の人の紹介で、湖のように広がる穏やかな海が目の前にある新崎地区で空き家を見つけ、移住を即決。
普段、仕事で忙しいが、能登の田舎には、里山里海の自然がつくる心落ち着く空間と、“のんびり”した時間の流れが、日々の生活にとけこんでいる。そんな穴水のごく“自然な”日常にも惹かれたのだろう。
新崎地区移住後、看護師だけでなく、かき氷屋としてのスキルも活かしたく、2018年3月、金沢医科大学大学院を卒業直前ごろから、設備会社勤務の菜々香ちゃんの父親や、母親と姉の全面的なサポートを受けて、移住先の自宅にある一軒家のような納屋(なや)の半分を改装開始した。
2018年6月9日から「ウミネコパーラー」をプレオープン、16日から本格オープンし、週3日の営業を開始した。
2018年3月末、足立くんは金沢医科大学大学院を卒業し、翌月から、石川県最大級の訪問看護組織 一般社団法人石川県医療在宅ケア事業団の一拠点 七尾市訪問看護ステーションで、非常勤の看護スタッフとして勤務している。
週2~3日間、看護師として、七尾市在住の利用者の自宅へ通い、お風呂、おむつ交換、血圧測定、傷の処置などを行い、残りの3日間は、かき氷カフェ「ウミネコパーラー」のオーナーとして働いている。
昨今、「人生100年時代」に突入し、1つの職業だけでないライフスタイルや、副業をOKする企業も増加。
2つの職を両立する「パラレルキャリア」のライフスタイルを実現しようとしている。また、全国的に「働き方」が注目されているが、足立くんのライフスタイルは「看護師」を軸にした職種の一事例になりそうだ。
ちなみに、焼き菓子に関しては、おじぃちゃんがケーキ屋だった菜々香ちゃんが担当している。「ケーキづくり」のケーキ職人としての歴は長い。
日々の生活でおじぃちゃんのケーキづくりを見ては食べて、遡ると、小学校の頃から、レシピノートをつけていたそうだ。
かき氷カフェ「ウミネコパーラー」の営業概要
※2018年6月現在
● 営業時間:
・金曜日 11:00〜17:00
・土曜日 11:00〜17:00
・日曜日 11:00〜17:00
※冬季間もオープン予定
● 定休日:
・月曜日~木曜日
● 場 所:
・石川県鳳珠郡穴水町新崎2−11
● 電 話:
・070-4420-7274
● メール:
・uminecoparlor@gmail.com
● 駐車場:
・5台以上(店の前が満車の場合、新崎の漁港に駐車可能)
● アクセス:
・飛行機 – 東京・羽田空港から約1時間30分。能登空港からはクルマかバスで。(こちら)
・クルマ – のと鉄道 穴水駅から約15分 (こちら)、和倉温泉から約45分(こちら)、金沢駅から約1時間30分 (こちら)
・バス – 穴水駅から曽福行のバスで新崎バス停まで約10分(こちら)
● 主なメニュー:
・かき氷 600円
・コーヒー: ウミネコブレンド 400円、カウリィ 500円
・ガトータタン、キャロットケーキなどのケーキ 450円~
・スコーン 250円~
・マフィン 350円~400円
・グリーンスムージー 600円
・ローカカオスムージー 600円
※朝や夜には、軽食も提供している。
● その他:
・Wi-Fiも完備(パスワードは聞けば教えてくれる)
・大手携帯キャリア電波あり(ドコモ弱め)
・車中泊(要相談でOK)。
店の資金に関しては、町役場などの補助金の活用は一切ない。全て独自予算で賄っている。
店の改装などの立ち上げには、約100万円をかけた。本来であれば、約150万円以上かかるだろうが、身内と自分たちでのりきった。
現時点では、週末で約100人前後の来客。ヨットなどの船でやってくる人たちもいる。
1カ月の平均売上は、40万円を目指している。
追加だが、かき氷カフェの名称「ウミネコパーラー」の“ウミネコ”は海付近で見かける渡り鳥の“ウミネコ”、“パーラー”には、軽飲食店、休憩所、診察室などの“休憩スポット”の意味がある。
暑~い夏、「ウミネコパーラー」でかき氷を食べて、店前の海に飛び込んで、体全体を冷やしてみてはいかが?!
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