2010年10月11日(月) – 朝9:00頃、白駒の池から剣ヶ峰に向けて出発。
途中、通り抜け禁止の看板が立った、山道への入り口があった。
地図上、剣ヶ峰はこっちの方角っぽい。地図上、「“こっち”の方角っぽい…」
なると、この看板を無視して登るしかない。ずっと登ってきたが、通り抜け禁止になるほどの危険性は全くない。
かなり長い登りだったが、登った分だけの絶景がぼくらをまっていた。
途中、追い抜かされたカップルが戻ってきた。「この先何かありますか?」と訪ねる。
「途中、下りと登りの繰り返しで、行けなくなりそうだったから戻ってきました」と言う。
「行けなくなりそうだから、戻ってきた…」かぁ。
「ということは、先に進める可能性があるかもしれない…」と解釈し、先へと進む。
途中、鹿の糞があったり、森の中からごそごそする音が聞こえたり、結花の「熊出てこないかな」という小声が聞こえたりするなどあったが、ぼくらは先へと進んだ。
結局、剣ヶ峰に行けたのかはわかないが、クリスマスツリーになりそうなもみの木々が生え、大きな丸太が積み重なった道にぶつかった。
ぼくは並ぶ丸太の上に登り、丸太の先に生えているもみの木々の先に行けるか確かめた。ここでざわざわした音が聞こえた。
周辺をみると何かがいるような感じはしないが、動物の体が木々に触れ、ざわざわした音が聞こえる。中々、ざわざわした音が静まらなかった。
こんなとき、自分の目線の高さで周りを見がち。
周辺の上を見てみた。木にキツツキらしき鳥が気を突っついていた。この音にびっくりしていたのかぁ…
結花は、丸太には登らず、ざわざわした音が聞こえ怖くなり、来た道を戻り始めてしまった。
この先を進みたかったが、小さなもみの木々が道に生えていて、進めそうになかったため、結局…来た道を引き返すことになった。
それに、麦草峠と茅野駅の往復バスチケットも購入していたので、バスの最終出発時間に遅れてチケットを無駄にするのはもったいない…
白駒の池へと戻る途中、「ここまで奥にきても、中々、大きな動物と遭遇しないなぁ」と思い、下を向いて10メートルほど、歩いていたときだった。
真っすぐ約50メートルを見ると、大きな角のニホンジカがいた。
前足、顔部分、角の高さを合わせると、約2メートル近くあるように見えた。
「これはでかい!」と驚きながらも、砂利道を一歩踏みこんだら、その足音に鹿が反応して、こっちを振り向いた。瞬間的に目があった。
そして、鹿は飛び走って森の中へと去って行った。シャッターチャンスは全くなかった… 鹿が走っていたところまで、急いで走り、自分も森の中に入ろうとしたが、もう足音さえ聞こえなかった。
その後、再度白駒の池を通り、14:30ごろに麦草峠のバス停に到着。
15:20発のバスで、茅野駅に戻った。ぼくらは、帰りのバスでも爆睡した。
その後、茅野駅に着いたら、また「そば茶屋」に行き、ぼくらは、前回食べた、とろろ山菜そばとかき揚げそばを食べる。
<< またも茅野駅の「そば茶屋」へ…しかし…お金がない!? >>
何度行っても美味しい蕎麦屋だった。食べ終わったのはいいが、なんと!二人とも財布に現金が入ってないことに気づいた。
「そば茶屋」ではクレジットカードでの支払いができない。
結花は、いつものように焦り出す。今日の山登りで、お腹が空いて疲れていたのか、銀行やATMでお金を下ろすことを忘れていたのだ。
蕎麦屋にいた親切なバイトの女の子に、蕎麦屋に近い銀行の場所を聞いて、行ってみたが、ちょうどATMのシャッターが閉りはじめた。
次に、蕎麦屋から約15分離れたコンビニへと向かった。
蕎麦屋で支払いを済ませなければならないが、コンビニへと行く途中に、スポーツストアがあったので、そこに5分ほど立ち寄り、ガスにつける三つ足のストーブ部分が売ってないかを確認したが、残念ながらなかった…
コンビニに到着。ATMでようやくお金を下ろすことができ、「そば茶屋」で支払いを済ませた。
その後、「そば茶屋」隣のコインロッカーに入れていた荷物をバックパックに戻し、コインロッカー隣にあった喫煙スペースのベンチに荷物を置いた。
2日連日、重いバックパックを担ぎ、合計で山道を約35キロ歩いたので、疲れていた。というより、汗で気持ち悪かったので、シャワーを浴びたい。
結花はかなり疲れていたので、ホテルに泊まるか、お風呂に入ってもうテントで寝たい、という気持ちになっていた。
結花は、近くのホテルを探しに行き、ぼくはベンチで荷物を詰めて、周辺の人にホテルや銭湯情報を聞こうとした。
<< 「田舎に泊まろう」の始まり >>
そして、近くの土産屋から、荷物を置いていたベンチに戻ると、野球道具を持った顔が赤いおじさんがベンチの隅っこに座って、タバコを吸っていた。
ベンチには、ぼくらの大きなバックパックが二つ置いてあるので、座るスペースはそんなにない。
「このスペースに半ケツで座ってくるか…すごいなぁ」と思いつつも、バックパックを右にスライドさせる。「旅ですか?どこから?」とそのおじさんに話しかけられた。
白駒の池に行ったことを話し、銭湯、ホテル、公園を探していることを話すと、場所を教えてくれたが、しばらくすると「そうか、これも縁だから、うちに泊まっていいよ。怪しいもんじゃないから」と親切なオファーをいただき、消防士の名刺を見せられた。
どう見ても、ぼくらより、怪しく見える人ではなかった。
<< 消防士宅での一泊 >>
消防士の人の名前は、矢島美信(やじまよしのぶ)さん。
ぼくと結花二人いるので、「悪いしなぁー」と思い、「悪いからいいですよぉ」と返答すると、「大丈夫!大丈夫!これも縁だから!」と言われ、自分も再度考え直す。
「本当に大丈夫ですかね?ご家族にご迷惑では?では、もしご家族がよろしければいいですか?」と返答した。
結花が、ビジネスホテルなどの料金確認から戻り、結花に事情を説明した。
そして、矢島さんを茅野駅まで迎えに来た奥さんからも「いいですよー」と優しい言葉をかけてもらい、矢島家でお世話になることが決まった。
「これも縁だから!田舎に泊まってしまおう!」の始まりだった。蕎麦屋で、現金がなく、出発時間が遅れてよかった。この遅れがなければ、矢島さんにお会いすることはなかっただろう。
この日、美信さんは、消防士対警察の野球の試合があり、警察に圧勝したようだ。美信さんのポジションはピッチャー。
試合の打ち上げで飲み会があり、その帰りで、奥さんのひさよさんの迎えを茅野駅のベンチで待っていた。
そのときに、ぼくと出会ったのだった。奥さんのひさよさんは、昔、パナホームに勤め、インテリアコーディネーターをしていた。
二人には、やんちゃで元気な子ども、かいと君(小学一年生)とりゅうせい君(小学二年生)がいる。
<< 消防士・矢島さんファミリー宅で… >>
結婚式や新婚旅行の写真を見せていただき、矢島夫妻のフィジーの新婚旅行話などについて話を聞き、お酒を飲みながら盛り上がった。
矢島夫妻は、新婚旅行でフィジーが気に入り、数年後にもう一度行ったそうだ。フィジーで日焼けした美信さんは、まるで現地人のようで、日本人ばなれした顔つきだった。
ぼくは、ダイビングをするので、一度はフィジーに行ってみたい。
オレゴン大学でスキューバダイビングの授業があり、オープンウォーターから始め、アドバンスドを取り、レスキューダイバーの資格まで取った。
オレゴンの冷たい海や湖に潜って、ライセンスを取った。1万円以上の年会費が発生するので、次の階級の「ダイバーマスター」の資格は取らなかった。
地上では見たことある高層ビルだらけ。
海の中は、ミステリーだらけで、どこに行っても新しい冒険だ。
「好奇心がありふれている」が一番の楽しみ。海の中で魚を見ると、「この魚はどこに帰るのだろう」「何をしてるんだろう」と気になってしまう。
美信さんは、高校卒業後、消防士になった。野球が好きで、消防士になる前、高校に軟式野球部をつくったそうだ。
美信さんのお父さんは、タクシーの運転手で、よく旅人を家に連れてきたそうだ。
以前、矢島夫妻は、ヒッチハイクをしていた女の子を乗せたことがあったそうだ。彼女の趣味は、ヒッチハイク。
茅野付近で全国ヒッチハイク集会の開催場所まで矢島夫妻が車で送ったそうだ。
茅野には、エプソンやオリンパスなどの工場があるそうだ。鹿、きつね、たぬきなどの動物が沢山いる。
鹿は、付近の田圃によく出没して、農作物を食べてしまうとのことだった。
最近では、118人に噛みついた猿がようやく確保されたとのことだった。
<< 4日振りのお風呂と、御柱祭り >>
矢島家に着いたらまず、温泉に行くことになった。旅4日目の夜に、初めてのお風呂!
温泉に行く前に、数杯のビールを飲み始め、矢島さんに、御柱祭りについて教えてもらった。矢島さん夫婦は、地域の文化についてよく知っている。
茅野の名物は、御柱祭りと諏訪大社。諏訪神社の本家がここにある。
御柱祭りは、6年に一度開催するお祭り(2010年は4月3日)。
「諏訪大社を守る御柱」を地面にねかせ、御柱の先方と後方に計4つ開いている穴に、「V」字斜め45度に2本の木を突き刺す。
御柱には、合計二文字の「V」、4本の木が、突き刺さっている。この斜め45度に突き刺さった4本の木には、合計48人の若者が乗る。
御柱の先端や「V」に刺さった4本の木には、富士の根を巻いて、御柱にささった4本の木のバランスをとって、左右傾かないように、両サイドのバランスをとって、約14キロの距離を倒さないように木全体を引きずって引っ張る人たちがいる。
4本の木に立てる人たちは、地域での貢献度によって、決まるそうだ。
お祭りはまず、御柱を宮川という川で清めるところから始まる。それを「木落とし」と呼ぶ。この「木落とし」は、大変危険そう。
4本の木に48人が立ったまま、宮川の傾斜を滑り落とす。滑り落とすとき、この木から落ちて怪我をしたり、御柱に轢かれて死人がでることもあるそうだ。
次回の御柱祭りは、2016年4月3日に開催予定。
御柱祭り時期、都会で仕事をしている地元出身の若者たちは、地元に戻って、祭りを活気づけるそうだ。
一昨年に参加した青森のねぶた祭りもそうだったが、お祭りがあると、都会に出て行った若者たちは、地元に戻ってくる。
お祭り時、一時的に町は元気になり、数日後、若者は都会へと戻り、お祭りがあった町は、何もなかったかのように静かになる。
矢島夫妻の子どもたちは、茅野市立金沢小学校に通う。冬、この地域特有の授業として、スケートがあるそうだ。
結花が出身の青森には、スキーの授業がある。場所によって、その地域ならではの、授業があるようだ。運動会の日程も異なる。
都内エリアでは、大体「体育の日」に近い日程で調整することが多いが、金沢小学校では、9月12日に開催したそうだ。
ぼくらが、地方を回り住みやすいところを探していることを話すと、矢島さん宅周辺の家の値段の話になった。矢島さんが住む地域は、一坪約5~10万円。約2,000万円で家が建つそうだ。
<< なぜ、卒業後、都会へ行くのか… >>
「なぜ子どもたちは都内へ行くのか、いずれ、かいと君とりゅうせい君も茅野を出て、都会へ行くと思いますか?」という質問をした。
その理由には、「地方で学べることが限られているから、東京へ行くでしょうね。就職先があるから」「田舎には産業がない」という意見だった。やはりそうなのか…
高校を卒業したとき、結花には、昔から「東京にいるって格好いい」というイメージがあったそうだ。
そして、「全てが東京にあるから」「中途半端な都会に行っても仕方ない」「行くなら情報が集まり、栄えている都会へ」と親から教えられてきたそうだ。
高校卒業後、結花は東京にある美容関係の専門学校へ行き、仕事を始めた。妹たちが仙台へ行こうとしたが、親は「東京に行った方がいい」と東京へ行くことをすすめたそうだ。
<< 茅野の「金鶏の湯」へ >>
その後、矢島さん宅近くの金沢温泉「金鶏の湯」(400円、長野県茅野市金沢2316番地1、Tel. 0266-82-1503)に行き、4日振りにお風呂に入ることができた。
久しぶりのお風呂で最高に気持ちよく、とにかく頭が痒かったので… 2回も頭を洗ってしまった。
ちなみに、茅野市内には、アクアランド茅野、河原温泉「河原の湯」、金沢温泉「金鶏の湯」、尖石温泉「縄文の湯」、玉宮温泉「望岳の湯」、米沢温泉「塩壺の湯」と、6つの温泉がある。
<< かいと君の印象に残る質問… >>
「金鶏の湯」の途中、花火の話になり、かいと君から、おもしろい質問があった。
「宇宙から花火を見たら、どんな眺めなのかなぁ」と。
「それは見たことないからわからないなぁー」と返答。そんなこと考えたこともなかった…
お風呂から戻り、数杯お酒を飲んで、歯ブラシをして寝た。<続きはこちら>
<前日のストーリー 『day 3 長野県 みどり湖と白駒の池 カモシカと遭遇 ~ 今夜はどこで寝るのか… ~』>
<翌日のストーリー 『day 5 長野県 茅野市立金沢小学校での田舎バックパッカーの講演』>
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