今年、2019年も10月31日にハロウィンを迎える。一昔前までは、家をハロウィン仕様にデコレーションをする程度だった日本だが、ここ数年で、東京・渋谷を中心に経済効果や、カルチャーにおける面でも急速な盛り上がりを見せている。しかし、一部が暴徒化して事件へと発展するなど、社会問題化している側面があり、今後規制が進みつつある。
渋谷区では2019年2月、ハロウィンへの対応を議論する対策検討会を開き、ハロウィン期間中の路上飲酒禁止の条例化を検討、6月には渋谷区議会で可決した。2019年のハロウィンだが、再び騒動は起きるのか?
本来、ハロウィンは主に秋の収穫を祝い、悪霊を追い出すために行われてきた。ただ、日本では、「仮装飲み会/パーティー」「お菓子集め」などのイベントとしてしか知られていないのが現状だろう。
ハロウィンが特に定着したのがアメリカ。民家では、カボチャの中身と表面を顔に似せて切り抜き、中にロウソクをともした「ジャック・オー・ランタン」を玄関に飾る。そして「Trick or Treat!(お菓子をくれないといたずらするぞ!)と唱える仮装した子どもたちを迎え、お菓子をあげるのだ。しかし、学生や大人たちの中では、ハロウィンは、もはや「仮装飲み会パーティー」として認知されているのが実態。
<< 世界で暴徒化するハロウィン >>
ハロウィンの週末、アメリカ各地の大学町の民家ではビール樽を家に置いた「Keg Party(ケグパーティー)」が開催され、学生たちを中心に、騒動となることがある。自身、出身校のオレゴンの小さな町 ユージーンにあるオレゴン大学がその代表例だった時代もあった。ビールボトルを投げる学生たちに対して、警察が催涙弾を投げる始末になるといった事件も実際に起きていた。
日本でも、渋谷をはじめとしたエリアでここ数年、若い大人の“いたずら”の度が増して、犯罪沙汰になっている。若者は、仮装して、パーティー気分で街へと繰り出す。向かう先は、飲み会、クラブなどさまざまだが、渋谷では混雑する路上がパーティーエリアとなり、マナー違反、犯罪行為が増している。
近年のハロウィンは、普段のストレスを解消するかのように、犯罪・迷惑行為などの暴走が問題視されており、毎年ニュースで報道され、世間を騒がせている。2018年、アルコールの飲みすぎによる、モノの破損、ごみの放置、騒音、喧嘩、痴漢、放尿など。軽トラックを横転する騒ぎまであったほど。
ここ数年、渋谷はそういった暴動に悩まされてきた。
<< 渋谷の罰則なしのハロウィン対策 >>
そういった背景から、ハロウィンや年越しの期間中、渋谷の一部地域において、路上や公園での飲酒などを禁止する条例が可決された。
しかし、現状は罰則規定がないため、実質的機能は疑問といわざるを得ないだろう。渋谷ほど激しい騒ぎではないが、同じような事情から、神奈川県の鎌倉市や逗子市でも、飲酒を禁じる条例が定められている。
若者たちにとって、ハロウィンは楽しいパーティーだが、それが手に負えない状態になると重大な社会問題になる。軽トラックがひっくり返されるような犯罪が起きるとなれば、放置しておくわけにはいかないだろう。
2019年は「ラグビーワールドカップ2019日本大会」が9月20日から11月2日まで開催され、世界各国から観光客が日本を訪れることだろう。渋谷は世界に対し、暴れる街の姿を見せることになるのか。
条例が可決されるなど、ますますハロウィンへの注目が高まっている日本。サッカー場で青い袋を使ってごみを持ち帰る姿などが世界で評価されている日本人だが、そのイメージをハロウィン時期の渋谷が壊さないよう、気をつけたいところだ。
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