Carstay - カーステイ

【ざっくり特集 – VANLIFE 3】クルマの移動暮らし「バンライフ」「移動型定住」を支える基盤「カーステイ」

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Carstay 車中泊 スポット 検索

昔の「遊牧民」をイメージすると、移動のたびに大量の荷物を人力や馬で運び、住処ごと大移動するような大変さがあったと思う。でも今は違う。クルマがある、飛行機がある、運送会社がある。現代の移動手段は、かつてと比べものにならないほど積載力も利便性も高まった。(前回のお話しはこちら

everything into smartphone モノ なくなる 時代 スマホ【これまで(左)は全てを持ち出さなければいけなかったが、今では(左)これら物理的な“モノ”全てはポケットサイズに。『非物質化』は今後もさらに進む。シリコンバレーのNASA Parkに拠地を置くシンギュラリティ大学取材時の創業者ピーター・ディアマンディスさんのプレゼンより】

一方で、「非物理化」やモノの小型化も進み、クルマに積む荷物はどんどん減ってきている。

IBM 350 microsd【メモリーカードの一例だが、データ容量だけでなく、物理的なサイズも大幅に変化した。昔だったら、たった5メガのストレージ納品でトラックや飛行機運搬。分野にもよるが、笑ってしまうほど、小型化が進んでいる。(シンギュラリティ大学 ピーターディアマンディスさんのプレゼンから)】

たくさん荷物を積まなくても、身軽に旅ができる時代。現金だって、もう物理的に持ち歩かなくてもいい。

もはや“旅”だけじゃない。クルマは、ワンベッド感覚で“暮らす”空間にもなる。

豊かな日本では、旅先のあちこちにコンビニやスーパーがあるから、必要なものはいつでも・どこでも手に入る。

ハイエース キャンピングカー 荷物 車内 バンライフ【目立つ荷物はパソコン2台とマウスぐらい?!これでも衣類、炊事、寝袋、扇風機、暖房(エンジンなしで動くFFヒーター)、PC用の外部モニター、大容量105Ahバッテリー2つ、250Wソーラーパネル、BBQカセットコンロ、クーラーボックスなどを積んでいる】

日本の国土は狭いが、意外と“空きスペース”は多い。都会にいると気づきにくいが、田舎や地方に目を向けると、使われていない土地はあちこちにある。

そうした“空き”を、車中泊やテント泊のスポットとして活用できるシェアリング・サービス「Carstay(カーステイ)」も登場した。“移動暮らし”をする人たちにとっては、「こういうの、待ってました!」と言いたくなるようなサービスだ。(Carstayのページはこちら

ハイエース 車中泊【カーステイに登録すると、このようなコーンが届く】

カーステイとは、“正式に認定された”車中泊やテント泊スポットを検索して、予約・決済までできるウェブサービスだ。

全国各地のスポット所有者は、使っていない駐車場や空き地といった“空きスペース”を、車中泊・テント泊用スポットとしてカーステイに登録し、クルマ旅人などに有料で貸し出すことができる。

旅人側は、カーステイのサイト上にあるグーグルマップを確認しながら、安心・安全な車中泊スポットを簡単に検索、予約して、クレジットカードで決済までスムーズに済ませられる。

車中泊スポットとしてだけではなく、工夫しだいで、さまざまな使い方ができるのも「カーステイ」の魅力だ。

土地所有者は、「カーステイ」に使っていない“空きスペース”を登録して、うまく活用すれば、“不動産屋さん”のようなこともできる。モバイル・ハウスやキャンピングカー、ハイエースなどを“住める”仕様にして、クルマで「移動暮らし」をする人、「バンライフ」を送る人たち、いわゆる「バンライファー」に向けて、いつでも土地を貸し出せるようになる。

連泊が可能なスポット、つまりクルマを住居として活用する「バンライフ」に向いた場所であれば、長期滞在だってできる。

そうしたプラットフォーム(基盤)があれば、どこへ移動しても暮らせるようになる。

クルマで、旅するように暮らしても、日本は小さな島国。移動は簡単だ。たとえ実家で何か緊急事態が起きても、飛行機や列車、バスに乗りかえればすぐに目的地へ行けるし、旅用のクルマでも簡単かつ高速に移動できる。

【今夜の仕事場はどこか… デスク、パソコン、スマホ、電気があれば、場所も問わない】

Hiace solar panel ハイエース ソーラー【車内で使う電気機器であれば、ソーラーで蓄電した電気で賄える。250ワットのソーラー、空がそこそこ晴れていれば、電気は1日中持つ。仕事道具であるパソコンなどの仕様は余裕だ】

また、田舎へのバックパッカー旅やテント泊を通じて感じたのは、「日本ほど『安全』で『綺麗』な国は、そうないんじゃないか?」ということ。約1年間のバックパッカー旅で、有料の宿に泊まったのはたったの3〜4日だけ。ほとんどがテント泊だったわけだが、それでも危険を感じたことは一度もなかった。

夜はテントを張って外で寝るスタイルだったけど、「ここでテント張ると酔っぱらいに絡まれそうだな〜」って場面があったくらいで、実際に危ない思いをしたことは一度もない。

たまたま運が良かっただけなのかもしれないけど、自分の体感としては「日本は安全」だと断言できる。田舎や地方をメインの目的地にしていたってのも、影響してるかもしれないが。

報道では犯罪が増えているように見えるかもしれないが、実際のところ、日本の犯罪件数は戦後最小を記録している。(参考記事はこちら

田舎を旅してると、本当に「いい人たち」ばかりに出会う。「おいで、おいで!」「一緒に飲んでけ!」「泊まってってもいいぞ」って、あったかい言葉をかけてくれる人が多い。

約3週間、五島列島をバックパッカー旅したときも、テントを張ったのはわずか5日くらい。あとは全部、人との出会いのおかげで泊まらせてもらった。

そんなふうに、日本には、安心・安全な環境と、親切であたたかい人たちが、本当に全国に広がってるのが素晴らしいと思う。

しかも、その安心・安全な環境に加えて、「カーステイ」を使えば、三井住友海上と共同開発した「車中泊保険」まで自動で付いてくる。たとえば、車や設備の破損、騒音などのトラブルにも対応してくれるから、さらに安心して利用できる(⇒これまでトラブルがなかったことから、車中泊スポットの保険は全て撤廃された)

フィリピン 田舎 トイレ【フィリピンの地方空港のトイレ(2016年7月、フィリピンへのバックパッカー)。座るところがない!ではないか!日本ではもはや見ない“景色”だろう】

そして、日本はどこへ行ってもトイレや水回りが本当に綺麗。アメリカや東南アジアなど、いろんな国を旅してきたけど、日本ほどどこもかしこも清潔な国って、なかなかないと思う。

テクノロジーが進化してるだけじゃなくて、「綺麗」「安全」というポジティブなキーワードがちゃんと根付いてる環境だからこそ、移動性の高い暮らし=モビリティ・ライフスタイルも、無理なく、むしろ快適に実現できるんだと思う。

だが、こんなに恵まれた環境に住んでいるのに、実際にこういう暮らし方を選んでる人はほんのわずか。まだまだ少数派。数えるくらいしかいないのが現実だ。

前回のストーリーでも触れたけど、こういったライフスタイルが広がらない背景には、やっぱり社会の中にある“ちょっとしたネガティブな固定観念”や考え方の影響があると思う。「現実的にムリじゃない?」「どうやって生活するの?」みたいな、“やや否定的な視線”が、多くの人の中に根づいてるんだよね。

「公共のトイレや駐車場をタダで使うつもりなの?」って疑問もあるかもしれないけど、それなら「バンライファー」向けの税や利用料の仕組みをつくればいいだけのお話し。すでに「カーステイ」みたいに、有料インフラとして成り立ってきているサービスも出てきてる。

家族ができて、「じゃあ子どもの教育はどうするの?」って声もあるだろう。でも、それに合った教育の仕組みをつくればいい。できない理由を探すより、どうすればできるか「解決策」を考えたほうが、よっぽど建設的だ。

それに「バンライフ」や「移動暮らし」って、今までも、やろうと思えば実現は可能だった。でも実際のところ、どこで車中泊できるのか、Wi-Fiは使えるのか、ごみ捨て場はあるのか…そういったスポットの設備情報が、意外と不明確で、見える化されてなかったわけだ。

もちろん、ブログやホームページ、SNS、メディアでもそういった情報は発信されてたけど、正直ごちゃごちゃしてて、ぱっと見てわかりやすいとは言えなかった。

ぼくのブログでも、多少はそういう情報を発信してきたけど、やっぱり地図上で一目で全てがわかるようなシステムがあったほうが、断然わかりやすいし、便利だなって思う。

テクノロジーの進化も、ここ6~7年で一気に加速した。

ぼくが田舎を中心にバックパッカー旅を始めたのは“たしか”2011年ごろ。当時はスマホでブログをアップするのもひと苦労だった。スマホの電池の持ちも悪くて、モバイルバッテリーなんてまだ珍しかったほど。スマホの普及そのものも“ようやく”って感じだった。

その当時、使ってたのは「X06HT」という機種で、グーグルマップの起動は遅いし、操作もしにくかった。通信速度も今とは比べものにならなくて、下り最大7.2Mbps、本体のメモリ容量はたったの140MB(microSDで32GBまで)で、いま思えば超低スペックだった。

でも今は、格安SIMで大容量のデータ通信ができるし、たとえWi-Fiがない場所でも、ほとんど問題なくネットにつながる。スマホの性能もバッテリーも進化して、移動中の発信がぐっとラクになった。

そんなテクノロジーの進化があったからこそ、「カーステイ」のように、車中泊やテント泊のスポットを“見える化”したサービスも生まれてきた。

だからこそ、「バンライフ」「移動暮らし」「移動型定住」「モバイルライフ」のライフスタイルも、どんどん現実味を帯びてきた。

最近では、複数の拠点を転々と旅歩きながら生活する「アドレスホッパー」と呼ばれる人たちも出てきて、そういうライフスタイルに合ったサービスまで登場してる。

2010年ごろの旅のときは、そんなサービスなんてなかったからこそ、逆に“手探り感”のある旅が楽しめたってのもあるけど、正直、「あのときカーステイがあったら、めちゃくちゃ便利だっただろうなぁ~」なんて、今でもふと思ったりする。

Carstay 宮下晃樹 CEO 社長【Carstay代表の宮下晃樹さん。「快適な移動と感動体験を」をミッションに「Carstay」のサービスを開始した】

「カーステイ」のように、空きスペース/車中泊できるスポットの場所を把握して、それを“見える化”してくれる仕組みって、これからの社会でかなり大きな役割を担っていくだろう。

vanlife with hiace ハイエース バンライフ 既に、茨城県つくば市では、移動暮らしをする「バンライファ―」を集めた“サミット”「つくばVAN泊」を開催した。「そんなイベントをやってしまおう!」という考え方が実に先進的だった。自治体が、そんな“変な”イベントを主催することは滅多にない。

「カーステイ」はいまのところ、クルマ旅の“夜”に必要な“車中泊スポット”を提供するサービスとして打ち出されているが、将来的にMaaS(Mobility as a Service)の構想が本格的に進んでいけば、“モバイル・ハウス”向けの土地、つまり空きスペースを“賃貸”する仕組みとしても活躍してくるはずだ。

そういう意味でも、「カーステイ」はいろんな形で有効活用できるプラットフォームになってくると思っている。

【茨城県つくば市が開催した「つくばVAN泊」。「バンライファ―」の“初”サミット的なイベントだった】

「カーステイ」は、ただのクルマ旅人向けプラットフォームで終わらない。

これから先、“遊動民”や“モバイル・ハウス”のような「移動型定住」を好み、そのライフスタイルを選ぶ人たちにとっても、なくてはならない存在になっていくだろう。

とはいえ、今の社会はまだまだ「移動暮らし」や「旅暮らし」、「バンライフ」「アドレスホッパー」といった新しいライフスタイルについてきていないのが現実だ。

でも、気づかなきゃいけないのは、テクノロジーの進化によって、世の中の変化はかつてないスピードで進んでいるということ。

【これもハイエースの中。ファンシーだよね】

従来の暮らし方だけではなく、いろんなスタイルが、これからますます存在感を増していく。

そんな新しいライフスタイルの“自由”を尊重して、それに合わせた社会のしくみや土台も見直していく必要があると思う。

つまり、社会も一緒に“進化”することで、ライフスタイルの多様性も広がっていく。

従来の生き方にとらわれず、いろんな暮らし方ができる。そんなことが現実的に可能なほど、日本は豊かになっている。

さらに、これから世界中の“ネット人口”もどんどん増えて、何十億人もの人がオンラインでつながる時代がくる。

それだけ多くの人がつながるってことは、価値観や暮らし方のバリエーションも、ますます広がっていくってことだ。



あらゆる分野での飛躍的な進化によって、選択肢はこれまでになく広がっている。

だからこそ、「暮らしはこうあるべき」といった固定観念は、そろそろ手放してもいい頃だと思う。

新しいスタイルを選んだ人たちを尊重して、受け入れて、共に生きていく。そういう“調和と共存”の姿勢が大切になってくる。

社会は一つ、日本も一つ、世界も一つ。だけど、その中には本当にいろんな生き方や考え方の人たちが存在してる。

「自分らしく暮らしたい」と願う人たちが、実はもう、すぐ隣にいるんだ。

これからは、“移動型定住民”や“バンライファー”といった、新しい生き方を選ぶ人たちが、もっともっと増えてくる。

そんな時代が始まるのかと思うと…本当にワクワクしてしかたがない。



【日本、遊び場もあちこちに】

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1979年1月生まれ、東京生まれ鎌倉と米オレゴン育ち。鎌倉の中学校卒業後、オレゴン州の高校と大学を卒業。現在、石川県鳳珠郡穴水町岩車在住。ソニーやPR会社で広報業務に約10年間携わり、2010年10月、ライフスタイルの選択肢を増やすべく、日本の田舎/地方を中心に、テント・寝袋・自炊道具などを担いだバックパッカー旅を開始。以後2年半にわたり旅を続ける。「テント」ベースから、2012年5月以降は「バン」ベースのバックパッカーになりバンライフ開始。2013年5月、人口約100人の限界集落 能登半島・石川県穴水町岩車に移住。現在は、「田舎への旅」と「田舎でのライフスタイル」の二つを軸に、田舎旅やライフスタイルの情報発信、都市部の人たちが能登の暮らしを体感できる「“ざっくばらん”な田舎ライフスタイル体験」の提供を行なうほか、東京のスタートアップ/ベンチャー企業、移住先・能登や静岡県の中小企業の広報サポート、地域活性プロジェクトサポートにもリモートワークで従事。また、ブログやウェブ制作、写真、執筆活動なども行なっている。移住先で自宅がある岩車の隣の地区 穴水町川尻では、シェアハウス・サテライトオフィスなど多目的・多機能の「田舎バックパッカーハウス」、そこに併設する“住める駐車場”であり長期滞在可能な車中泊スポット「バンライフ・ステーション」も運営。現在、東京の“バンライフ”のCarstay(カーステイ)で広報責任者として関わりつつも、静岡県島田市で幻のきのこ“はなびらたけ”「ホホホタケ」を生産する大井川電機製作所、石川県輪島市では国産漆だけでアート作品をつくる“芯漆(しんしつ)”の山崖松花堂などの広報を担当する。移住先・石川県穴水町岩車で育てられた牡蠣の販売もサポートする。

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