自動車や懐中電灯などの電球を製造・販売する静岡県島田市の大井川電機製作所が、“幻のきのこ”として知られる「はなびらたけ」の生産拠点を新設し、生産量を従来の10倍に強化した。
総額2億円を投じ、8月19日より稼働開始した新設の落合生産拠点(静岡県島田市落合)は、2015年から稼働開始した川根生産拠点の約10倍にあたる月間最大6万パック(80グラム/1パック)のはなびらたけの安定出荷が可能となる。
日テレ「満天 青空レストラン」に大井川電機製作所<静岡県島田市>のはなびらたけ「ホホホタケ」「ホホホの子」!料理店や販売店は? |
落合新生産拠点は延面積1300平方メートルで、はなびらたけの菌床生産設備、接種室、栽培室、収穫室、冷蔵庫などで構成している。大井川電機では、2020年内のはなびらたけの売上高を4,000万円、2021年に1億円、2025年までに10億円まで伸ばし、電球に近い売上まで伸ばし、電球とはなびらたけの2本の主力事業に成長させることを目指している。
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<< そもそも「はなびらたけ」はなぜ「幻」なのか? >>
はなびらたけは標高1,000メートル以上の高山で生育し、採取することが困難なので「幻のきのこ」と呼ばれている。見た目は白い花びらのように華やかで、食感が優れ、きのこの中でも栄養素のベータグルカンが多く含まれ免疫機能を促進することから、料理人から高い評価を得ている。すき焼き、アヒージョ、炊き込みご飯、天ぷら、鍋、サラダ、唐揚げなどの料理で使用されることが多い。
また、冷蔵庫に入れておけば、約1ヶ月もつとも聞いたことがあるので、キャンプやバンライフにもマッチする食材なのかもしれない!
【先日、Abema TVで取り上げられた大井川電機のはなびらたけに関するニュース(約2分半)(テレビ朝日の記事はこちら)】
<< はなびらたけビジネスに参入した背景 >>
昨今、電気自動車(EV)や自動運転など世界の自動車産業が急激に変化し、自動車のあらゆる部品が入れ替わるなど、部品を生産する下請け企業には、変革が求められている。
大井川電機では1967年の創業からこれまで、国内外の自動車メーカーに、ウィンカーやテールランプ用など、合計数十種類の照明用電球を月間約1千万個生産・販売し、現在までで市場に約50億個の電球を出荷、年間約20億円を売上げてきた。
しかし、業界を取り巻く環境変化と自動車電球の発光ダイオード(LED)化に伴い、売上が減少傾向に。自動車産業で長年培ってきた電球製造の厳格な品質管理と生産体制のノウハウを活かした新規事業への参入を検討し、2015年からはなびらたけの栽培方法の研究を開始した。
大井川電機の主要取引先はスタンレーで、同社に電球を納品し、スタンレーが大井川電機の電球やそのカバーなどをまとめて、トヨタなどの自動車会社に納品するわけだ。
新型コロナウイルス感染症の影響もあり、そして、大井川電機が今後の部品メーカーの“難しさ”を予測していたとおりなのか、先月、スタンレー含め、部品メーカー30社が最終赤字となった。
● 日経参考記事: 車部品大手30社が最終赤字 4~6月期、再編促進も
ポイント: 今回のスゴイところって、田舎/地方や都会問わず、創業50年以上になる老舗の零細企業になると、経営陣に若手は少なく、年齢層が高い人たちばかり。年齢層が高い人ほど、考え方、頭が固い人は比較的多い。そんな企業ほど、現在展開している本業以外の事業に参入するってホント難しいことだと思っている。老舗で年齢層が高い企業になればなるほど、これまでの過去の実績ばかりを気にして、それ以外の考えを持とうとせず、頑固に、普通「プライド持って電球作ってきたのに!キノコなんて今更そだてられっか!」ってなる人が多い。そこをトップダウンや、社内をじわじわと説得して、他事業を手掛けようとしたことがスゴイのだ。また、もちろんのこと、いずれ、電球が困難なビジネスになることを予測し、社内で別の主力事業のアイディアを募ったこともスゴイことだったかと思う。
これまでの当たり前から脱皮して、違う世界へと乗り込む勇気、必要な時代なんだなぁと思うなぁ。
<< 大井川電機のはなびらたけ、どこで買える?食べられる? >>
大井川電機では、はなびらたけの温湿度管理、二酸化炭素濃度のコントロールなどの研究を重ね、独自の栽培ノウハウを確立、市場に安定供給ができるようになったことから、2018年12月から、大井川電機近隣の「道の駅」やスーパーなどでハナビラダケの販売を開始。
大井川電機のはなびらたけは現在、東京ではすき焼きの「浅草今半」など料理店の一料理として採用、量販店/スーパーの「ライフ」などで販売されるほか、静岡県内では農家民宿食堂カフェ「coco-Rin(ココリン)」、割烹料理「ふじの」、フランス料理「三枝商店」、「大井川鐵道 川根温泉ホテル」、道の駅 掛川、JA三方ヶ原「土の市」、島田市内小中学校の給食でもはなびらたけが採用されている。
【先日、静岡県のテレビ局SBSテレビで取り上げられた大井川電機のはなびらたけ。地元の料理店、料理方法などが紹介されている。キャスターのブログ記事はこちら】
大井川電機では、自動車メーカーの厳しい監査のもと、品質、安全衛生、納期遵守に重視しながら、電球の生産管理を行ってきた。その電球製造で培ったモノづくりのノウハウを活かし、厳しい製造管理体制のもと、衛生・温湿度・手順・品質・発送など厳密な管理を設け、安心安全なはなびらたけを生産、従来の農家のように天候や農作物の生育環境などに左右されることなく、出荷先へと一年を通じた安定供給が可能なため、市場、仲卸業者、食品スーパー、料亭などから高い評価を得ている。
2019年、はなびらたけ事業を本格的に強化するために、大井川電機では「きのこ部」を新設、はなびらたけの流通を拡大するために、営業、ブランディング、広報担当を配属、更なる販路拡大を図る。
2020年7月までの出荷量は前年度比倍増の月8,000パック、売上高も倍増しているのだ。
なお、大井川電機では2020年度内ごろに、「はなびらたけは食べた人々を“ホホホ”と笑顔にする」を概念に「ホホホタケ」、根部分の花托(かたく)を「ホホホの子」と名付け、新たなパッケージデザインで出荷開始予定だ。
1967年創業の大井川電機製作所は「社会貢献」「人間尊重」「継続企業」の3つを企業理念に事業を展開。電球製造を基本に、クリスマス球の製造から始まり、懐中電灯、自動車の小形電球の製造販売を開始し、照明部品で国内外の自動車産業を支えてきた。環境の変化に挑戦すべく、2020年、新たな事業として幻のきのこ「はなびらたけ」の生産・販売を開始した。
● 会社: https://www.oigawa.com/
● はなびらたけ: https://oigawa-kinoko.com/
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