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「車中生活」「バンライフ」の“影”に必要なこと | NHKスペシャル記事「車中の人々 駐車場の片隅で」から考える

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van life light shadow 車上生活 車中生活 バンライフ 光と影

車上生活、車中生活、車中泊、いまや格好よく言えば、「バンライフ」と呼ばれる新たな世界がある。

「サラリーマンライフ」「田舎暮らし」など、様々な大カテゴリーのライフスタイルの中にも様々なジャンルの暮らし方があるように、「バンライフ」の中にも幅広い考え方の元、この暮らし方を実践する人たちが存在する。

昨晩、NHKスペシャルで、以下の放送があった。

道の駅で夜を明かす――彼らはなぜ「車中生活者」になったのか

ぼくはこの番組を観られなかったが、この記事を読むかぎり、主に「車中生活」「バンライフ」の“影”“闇”を探った番組内容となっていたことだろう。

田舎に生活拠点を置きつつも、バンライフ、車中泊、車旅をする一人として、単純かつ純粋に思ったことは… 今回の番組のように、「バンライフ」というライフスタイルを送る人の背景には、ポジティブ&ネガティブ面、様々な理由と事情があるということ。

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動く家、クルマ、バンライフ生活をする人たち含め、あらゆる事情・背景で、現在のライフスタイルに辿り着いた人々がいる。

今回のNHKスペシャルに映された人々は、そんな中でも、言い方は悪いが「車中生活に“なってしまった”」「車中生活しか選択肢がなくなってしまった」「仕方なく車中生活になった」人々。

例えば、借金を抱え、シェルターとなる家が車しかなくなった、精神的な病を抱えているため自身が住んでいたコミュニティに住むことが耐えられなくなった、などなど。

そういった人たちを映し出した「車中泊」特集となった。

このような特集ばかり観てしまうと、「やっぱり、『バンライフ』『車中生活』って、どん底までいってしまった人たちが送るライフスタイルなんだ」と脳裏に焼きついてしまう。

ただ、一方では、今や「バンライフ」「車中生活」をポジティブにとらえ、「車を仕事や生活の拠点にして、毎日、違う景色に寝起きしたい!」「旅しながら、仕事や生活したいからバンライフ実践したい!」など、ポジティブな背景から、車に住むことを選択し、積極的に自ら「バンライフ」「車中泊」を始める人々もいるわけだ。

車中泊生活ブームが日本到来か、欧米発「バンライフ」の魅力と現実

富士山 車中泊 バンライフ

そんな傍ら、この世界には、なんらかの事情で家や財産を失い、「家を手放し、“無料”駐車場とトイレがある『道の駅』のような施設に車を停めて、そこに住むしかないか…」と、車上生活などになってしまった人もいることも現実。テレビに映し出された車を生活拠点にして暮らす人々がいるように、ネガティブな事情から「車中生活」が始まった人々がいることも現実だ。

だが…

番組に関する記事をみて、一つ目に感じたことは、前にも書いたが、今の時代 車中生活を積極的に実践したい人もいるので、「車中生活を送る人は、貧乏人や生活が厳しい人オンリー」という方程式だけを根付かせるべきではないと感じてしまった。

どのような暮らし、固定された家に住むという従来型のライフスタイルのカテゴリーだろうと「貧困層」は存在し、言うまでもないが「富裕層」「中間層」など様々だ。

視野の広い人ならば、わかるかと思うが、まだまだ「バンライフ」は発展途上の段階で、知る人ぞ知るライフスタイル。車中生活、バンライフに入りこむ人たちの全てがネガティブ思考から入りこむわけではない。

vanlife michitolife ミチトライフ バンライフ

その理由に関しては、ざっくりではあるが、以下記事でも書いている。

“ざっくり”特集: クルマで“移動暮らし”できる時代 始まる『移動型定住』『動くX』

今回のNHKスペシャルの特集記事をみて、「車中生活ってこれだから…だめだよなぁ」「バンライフもこんなもんだろう」と思ってしまう人たちがいるかと思うが… 従来型の「サラリーマン・ウーマンライフ」にも、たたみ一畳生活、1DK生活、路上生活、ホームレス、段ボールの家に住む人など、従来の固定された家で暮らす人々のカテゴリー内にも様々な事情が存在する。

なので、「バンライフ」を選択した人たちの全てが「行く場を失った人たち」と連想させる「絵」ばかりを映し出すことはいかがなものかと思ってしまった。

貧困層を支える拠点もバンライフ・プラットフォーム内に必要?

最後に、今回の番組内容に関する記事を見て、ぼくが感じたことは…

重要なことは、あらゆる生活事情、多様性に耐えられる社会基盤と、社会の視野の広さが重要では?という点。

繰り返しだが、どのような暮らし方のカテゴリーにいようと、そのカテゴリー内には厳しい生活を送っている人たちが必ずいる。

そして、公園などで路上生活者を支えるボランティア団体の人たちがいるように、仕方なく、バンライファー/車中生活者になった人たちもいるので、そのような人たちを支える組織、器の大きいコミュニティ、個人の必要性と重要性を感じてしまった。

ぼくらが住む世界には、競争、資本主義社会が構築されてしまったが、その社会に住みたくない、順応できない、矛盾を感じている人たちなど沢山いることだろう。

無理やりこの資本主義社会に入れられてしまったと感じている人たちもいるはずだ。だが、従来の資本主義社会からなるライフスタイル一択しかない… とストレスを感じながら、仕方なくこの社会で暮らす人たちも多いはず。

ライフスタイルの選択肢の少なさから、そう感じる人もいて、耐えられなくなり、車を拠点としたライススタイルを選択した人たちもいることだろう。

みんながみんな従来の生き方で暮らしたい、満足したいわけではない。

固定された家に住む従来のライフスタイルの中にも、“仕方なく”路上生活、公園でのテント生活をする人たちがいるように、車をベース拠点にした「バンライフ」の現実にも、仕方なく車に住む人たちもいる。

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ぼくは、車中泊スポット、駐車場に長期滞在可能で住める駐車場とシェアハウスを運営するオーナー。

今は「車中泊」「バンライフ」という旅やライフスタイルを好んで実践している人たち向けに、レジャー要素がほとんどの「バンライフ」スポットを運営している。

しかし、公園で炊き出しを行い、路上生活をサポートするボランティア団体があるように、今後、「バンライフ」の世界にも、「仕方なく車に住む人たち」をサポートする「バンライフ」のシステム基盤も必要になってくるのでは?とも感じた。

…と感じつつも、今は、あらゆる意味で、ぼくにそれだけの器はなく、そのようなボランティア的な場をつくる余裕はない。

また、そのようなスポットをつくったとしても、地域や家族が受け入れてくれるのか… という課題もある。

こういった現実を知り、社会があらゆるライフスタイルを尊重し、受け入れ、課題含め対応することも重要ではないだろうか?

様々な理由や事情を把握して、あらゆるタイプの人たちを受け入れられる器の大きさ・人柄と、体制の確立、人間性の豊かさ持ち合わせる人間になっていきたいと思っている。

バンライフをしたい学生たち

アメリカ・カリフォルニア州サンフランシスコの大学に通う生徒の中には、学費を節約し、卒業後、すぐに成功の軌道に乗せたいという背景から、旧輸送車、救急車、従来のバンなどを改造して「バンライフ」を選択する人たちもいる。

そして、「大学構内の空き駐車場をバンライフ生徒のためにオープンしては?」とそのような暮らしを応援する大学のスタッフもいる。

● Students Build Tiny Homes in Vans and Trucks While SF Rent Soars
https://www.nbcbayarea.com/news/local/making-it-in-the-bay/students-build-tiny-homes-in-vans-and-trucks-while-sf-rent-soars/2231378/

社会には様々なライフスタイルがあって良しと考える。一つのライフスタイルだけではない。

「選択肢が存在」していることが重要だ。みんながみんな、従来の暮らし方で人生を過ごしたいわけではない。

「こんな暮らし方ありえん」と、否定的で頑固な考え方ばかりするのではなく、様々な暮らし方に対する考え方をお互い尊重し合える社会の確立が重要だと思っている。

NHKスペシャル取材班『ルポ 車上生活 駐車場の片隅で』
● 第1章 住居をもてない人々
・一人と一匹で暮らす“猫のおじさん”
・子どもを連れた“車上家族”
● 第2章 逃げ場を求めて
・乳飲み子を抱えていた夫婦
・制服を着た少女とその母親
・虐待を受けていた男性
● 第3章 それぞれの事情
・「孫育て」に奮闘する女性親子
・車上生活を繰り返す優しい青年
・“二人三脚”車中のおしどり夫婦
● 第4章 世俗から離れて
・10年間車で暮らした高齢男性
・「遺体とともに」暮らしていた女性
・海を見つめていた佐伯さん

 

 

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能登半島にある小さな田舎町<石川県穴水町川尻>にシェアハウスとオフィス、コワーキングスペース、そして、住める駐車場・長期間滞在可能な車中泊スポット「バンライフ・ステーション」も!

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1979年1月生まれ、東京生まれ鎌倉と米オレゴン育ち。鎌倉の中学校卒業後、オレゴン州の高校と大学を卒業。現在、石川県鳳珠郡穴水町岩車在住。ソニーやPR会社で広報業務に約10年間携わり、2010年10月、ライフスタイルの選択肢を増やすべく、日本の田舎/地方を中心に、テント・寝袋・自炊道具などを担いだバックパッカー旅を開始。以後2年半にわたり旅を続ける。「テント」ベースから、2012年5月以降は「バン」ベースのバックパッカーになりバンライフ開始。2013年5月、人口約100人の限界集落 能登半島・石川県穴水町岩車に移住。現在は、「田舎への旅」と「田舎でのライフスタイル」の二つを軸に、田舎旅やライフスタイルの情報発信、都市部の人たちが能登の暮らしを体感できる「“ざっくばらん”な田舎ライフスタイル体験」の提供を行なうほか、東京のスタートアップ/ベンチャー企業、移住先・能登や静岡県の中小企業の広報サポート、地域活性プロジェクトサポートにもリモートワークで従事。また、ブログやウェブ制作、写真、執筆活動なども行なっている。移住先で自宅がある岩車の隣の地区 穴水町川尻では、シェアハウス・サテライトオフィスなど多目的・多機能の「田舎バックパッカーハウス」、そこに併設する“住める駐車場”であり長期滞在可能な車中泊スポット「バンライフ・ステーション」も運営。現在、東京の“バンライフ”のCarstay(カーステイ)で広報責任者として関わりつつも、静岡県島田市で幻のきのこ“はなびらたけ”「ホホホタケ」を生産する大井川電機製作所、石川県輪島市では国産漆だけでアート作品をつくる“芯漆(しんしつ)”の山崖松花堂などの広報を担当する。移住先・石川県穴水町岩車で育てられた牡蠣の販売もサポートする。

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