2010-12 Backpacking Shikoku Islands - 四国へのバックパッカー旅

day 55.2 愛媛県 日振島 養殖の収入や経費とは?

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日振島 笠岡彰 養殖

2010年12月19日(日) – 笠岡彰さんは、高校時代に研修・勤務した会社から、7~8センチの稚魚を購入している。

鯛は7万匹/年、縞鰺は1万5,000匹/年の出荷。売上は約1億円。純利益は1千万円。

餌代は6,000万円とかなり高額。150リットルのディーゼル燃料で1万円/日かかるそうだ。

2009年は380万円の燃料費がかかったそうだ。

船専用の消火器一本で、5万円。新しいエンジンは、600万馬力で、1千万円。エンジンから全て、ほとんどの船はオーダーメイドだ。

笠岡さんの船は、ガラス樹脂でつくられた、腐らなく、耐久性あるFRPの8.5トンの船。生簀は、130万円/台。笠岡さんは、3台の船を持つ。

休みは年に10日程度。

ちなみに、生簀のことを筏(いかだ)とも言うそうだ。場所によって異なると思うが、日振島では、「筏」を使っている。

日振島 笠岡あきら 養殖【愛媛県 日振島 笠岡彰さんと記念撮影】

生簀の大きさは、地域の漁協のルールで異なり、日振島では、縦横11メートルの正方形となっている。

日振島で一番経験がある人で35年ほどの養殖経験者がいるそうだ。

多い人で、25~30台の生簀をもつ。生簀の場所は、くじ引きによって決まるが、ここ最近は、くじ引きがされてない。

 

日振島の養殖事情

日振島には25社の養殖業者があり、主に、魬(はまち)、鯛(たい)、クエ、鮪(まぐろ)、マズラハギ、鮍(かわはぎ)、カンパチ、鱸(すずき)、縞鯵などが養殖されている。

島で一番多く養殖されている魚(約7割)は魬。鯛の養殖は、笠岡さんが初めて日振島で開始したそうだ。

日振島に来るまで、ぼくの養殖のイメージは、「元気がない」、「自然のものでない」、「何らかの薬が使われている」などとネガティブだった。

しかし、実際、現場を見ると、「養殖は自然」、「元気に餌に飛び食いついで泳ぎまわる」、「栄養も十分に考えられて、安全に育てられている」というイメージがつき、これまでの偏見が払拭された。

もちろん人それぞれによって育て方は違ってくるかもしれないが、ぼくがみた笠岡さんの養殖現場はそんなイメージだ。

現在のところ、笠原さんなりの育て方をしても、市場に出荷されると、鯛や縞鰺の価格は、他の水産業者が育てているものと同じになってしまうのだ。

 

いくらこだわりを持って魚を育てても、相場によって値段が決められてしまう…

魚の売値は相場によって決められてしまうのだ。

笠岡さんは今後、自社で価格を設定できるように、着々と自身のブランドを構築していきたいと考えている。

笠岡さんに育てられている魚が売られている場所は、鯛は主にスーパーで、縞鰺は魚屋さんなどで売られる(最終的には築地などの市場次第)。

天然の鯛は、そこまで市場に出回るほどでもないそうで、養殖の鯛がスーパーに安定供給される。

縞鰺は高値なので、景気に影響されやすいそうだ。

市場への出荷以外にも、自身で営業をかける努力をしている。試食として、縞鰺を一匹、お店にも送って意見を聞いているそうだ。

しかし、「天然」ブランドは強く、天然の魚が優勢のようだ。

 

子どもに食べさせても安心できる魚づくりを…

笠岡さんの養殖の魚は、自然の魚を餌として食べさせている。「子どもに食べさせても安心できる魚づくり」を心がけている。

餌を食べているときの、魚の様子はものすごい元気だ。みんな飛び跳ねて、餌を食べている。

そして、天然の魚は、何を食べているかわからないので、「安心できない」という意見もある。

牛や豚も、ある意味、全て養殖ではないだろうか。自然に生きているものを、誰かが狩りをして、食用にしているわけでもない。

笠岡さんの養殖の魚のように、牛や豚も、酪農家が愛情込めて大切に育て、出荷されるわけだ。

笠岡さんは、島で育ったからか「海や魚が好き。自分にとって東京や都会は住むところではない。自分の性に合わない」と言う。

日振島では、親戚が養殖をしていた。最近、漁師も魚が捕れなくなってきているのが現状。

笠岡さんは、2台の生簀を管理しているときに、素潜り漁もしていた。今は、養殖業で手がいっぱい。

日振島小学校を卒業後、中学校から寮生活をしていた。高校では、商業専門学校に入学し、お金の流れを知る必要があると思い、経理を勉強。29歳のときに結婚したそうだ。ちなみにお兄さんは、愛知県で車関係の仕事をしているそうだ。

昨日会ったナインティナイン岡村似の濱さんは、笠岡さんの親戚で、濱さんが笠岡さんの生簀を掃除している。

生簀についている、藻、ごみなどをとって、掃除をすることで、魚が新鮮な空気や海水を吸える。

掃除をしないとストレスがたまり、魚が病気になってしまうのだ。

この島の養殖や漁師で一番若い人で34歳だそうで、一番多い世代は50代とのことだ。(濱さんとの出会いはこちら

鯛の給餌が終わると、ぼくら田舎バックパッカーは喜路の港に戻った。笠岡さんは、鯛に続き縞鰺の給餌をする。

それにしても…ぼくらは、こんなに沢山、養殖に関する話が聞けるとは思わなかった。

笠岡さんに一から養殖について教えてくれたことに感謝だ。

さて、笠岡さんは翌朝、活け締めにした800匹の鯛を宇和島で出荷する予定。

多いときで、3,500匹の鯛が出荷されるそうだ。宇和島の業者が鯛を購入して、全国の市場(主に松山や東京)に出荷するのだ。

笠岡さんが明日、鯛の出荷で宇和島に行くことを聞いたぼくは、笠岡さんに宇和島まで相乗りできないか、お願いをした。OKが出た!

港に戻ると、子どもたちが遊んでいる。

そして、「奥さんは大切にしなきゃいかんよ」と何度も話す大野三郎さんはこの時間帯の船で帰ってしまった。

日振島 釣り 穴場【愛媛県 日振島で出会った釣り人の大野三郎さん懐中電灯を忘れたのでお貸しした】

ぼくらは、子どもたち遊ぶことになった。笠岡さんの子どももいる。みそらちゃん、あまなちゃん、かいるちゃんだ。

日振島 子ども【愛媛県 日振島の子どもたち】

まず、みそらちゃんが、「喜路を案内してあげる」と周辺を案内してくれた。みそらちゃんは花にすごく詳しかった。

「これがつわぶきだよ」とタンポポのようなお花を指して教えてくれる。

一休みしよう!と、笠岡さんの両親の家に連れて行かれると、カステラとコーヒーをご馳走してくれた。親切なご両親。お父さんは、仕事の疲れで、家の中で昼寝をしていた。

さて…ここからが結構な運動だった。なんとぼくらは、子どもたちと、鬼ごっこをすることになったのだ。

子どもと遊ぶのは楽しい…が、シャワーを浴びることができない、ぼくらにとって、鬼ごっこはかなりつらい遊びだ。

お寺周辺で鬼ごっご。結花が鬼になると「おばたりあーん、こっちだよー」と叫ぶ。

ぼくがそう声をかけてみな、と皆に伝えたことが、その叫び声の発端だが…。

そして、次にデジカメで写真を撮り合ったりして遊ぶ。みんな元気でかわいい子どもたちだった。

その後、結花は地図を見せながら、ぼくらがこれまで行ったところなどを教えている。

夕飯の時間になると、「19:00、テント張ってるときに来るからねー」と言い、子どもたちは帰っていった。

今晩、笠岡さんは消防団の忘年会。その途中、笠岡さんが、こっそりと…ぼくらに縞鰺の刺身を持ってきてくれたのだ! こんな高級魚!

ぼくらは、養殖の見学中、笠岡さんに「ここまで見学したら、是非、食べてみたいです!」と冗談で言っていた…。

時間が経ったので書いてしまっているが、「絶対、言ったらだめですよ」と縞鰺をご馳走してくれた。

これが、かなり美味だったし、嬉しかった!「では、今度、鯛をお願いします!」と冗談も含めお礼を言って、そのままその夜、笠岡さんは、消防団の飲み会へと行ってしまった。

今日は日曜日。大野三郎さん含め、釣り人のみんなは最終便の定期船で帰ってしまったので、待合所で寝ている人はいない。

ぼくらは、定期船の待合所内にテントを張ることにした。管理の人から注意をうけるので、電気は懐中電灯のみを使う。

日振島 少子化 愛媛【愛媛県 日振島 初めてのテントや寝袋ではしゃぐ子どもたち】

そして19:00ごろ、子どもたちがお母さんと一緒に、テントや寝袋を見に待合所にやってきた。

子どもたちがくるとテントを張り始める。子どもたちは、テントや寝袋に入るのが初めて。

はしゃいで、テントの中に入ったり、寝袋に入ったりする。テントから顔をだした子どもたちを記念撮影。

その後、ぼくらは笠原さんの子どもたちを家まで抱っこして送っていった。

家の玄関で、小さなクリスマスツリーをライトアップさせてみせてくれたみんな。ここでまたみんなで記念撮影。

日振島 笠岡彰 愛媛県【愛媛県 日振島の子どもたち、クリスマスツリーが飾られてある笠岡さん宅で記念撮影】

そして、「翌朝、送りに行くねー」とぼくらに言う。

そして、子どもたちは、お母さんに「これから(ぼくらのために)プレゼントつくってもいい?」と尋ねている。

ぼくらがテントへ戻ろうと笠岡家から出ると、真ん中の子が「いやだー」と泣き始めてしまった。

日振島 笠岡彰 養殖【愛媛県 日振島 みんなで記念撮影】

明日、ぼくら田舎バックパッカーはとうとう鎌倉へ向けて出発する…<続きはこちら

<前回のエピソード 『day 55.1 愛媛県 日振島 笠岡彰さんの養殖現場を見学2 ~ 笠岡さんのこだわり『魚には魚の餌』『養殖人は魚の栄養士でなければいけない』 ~』>

<次回のエピソード 『day 56 愛媛県 日振島から宇和島へ ~ 昨晩の縞鯵(しまあじ)のご馳走に続き、朝から鯛(たい)の刺身をご馳走になるバックパッカー ~』>

 

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1979年1月生まれ、東京生まれ鎌倉と米オレゴン育ち。鎌倉の中学校卒業後、オレゴン州の高校と大学を卒業。現在、石川県鳳珠郡穴水町岩車在住。ソニーやPR会社で広報業務に約10年間携わり、2010年10月、ライフスタイルの選択肢を増やすべく、日本の田舎/地方を中心に、テント・寝袋・自炊道具などを担いだバックパッカー旅を開始。以後2年半にわたり旅を続ける。「テント」ベースから、2012年5月以降は「バン」ベースのバックパッカーになりバンライフ開始。2013年5月、人口約100人の限界集落 能登半島・石川県穴水町岩車に移住。現在は、「田舎への旅」と「田舎でのライフスタイル」の二つを軸に、田舎旅やライフスタイルの情報発信、都市部の人たちが能登の暮らしを体感できる「“ざっくばらん”な田舎ライフスタイル体験」の提供を行なうほか、東京のスタートアップ/ベンチャー企業、移住先・能登や静岡県の中小企業の広報サポート、地域活性プロジェクトサポートにもリモートワークで従事。また、ブログやウェブ制作、写真、執筆活動なども行なっている。移住先で自宅がある岩車の隣の地区 穴水町川尻では、シェアハウス・サテライトオフィスなど多目的・多機能の「田舎バックパッカーハウス」、そこに併設する“住める駐車場”であり長期滞在可能な車中泊スポット「バンライフ・ステーション」も運営。現在、東京の“バンライフ”のCarstay(カーステイ)で広報責任者として関わりつつも、静岡県島田市で幻のきのこ“はなびらたけ”「ホホホタケ」を生産する大井川電機製作所、石川県輪島市では国産漆だけでアート作品をつくる“芯漆(しんしつ)”の山崖松花堂などの広報を担当する。移住先・石川県穴水町岩車で育てられた牡蠣の販売もサポートする。

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