徳島県勝浦郡上勝町 – ここ上勝町の「神田茶の里」は、晩茶のいい匂いが香る場所。(前回のお話しはこちら)
上勝へ行く前の8月中旬に、静岡へ行ったが、なぜか…茶の香りがあった記憶はほとんどない。
「神田茶の里」の地域一帯では、晩茶農家が、昔ながらの特別な製法を使い、外で茶葉を天日干ししていることから、地域一帯に晩茶の香りが漂うわけだ。
山々が晩茶を囲み、その香りをここに閉じ込めている。
【徳島県上勝町 – 映画「人生、いろどり」ロケ地を歩く。「神田茶の里」で晩茶の天日干しを見学しているときに、晩茶の葉っぱにカエルがひょこっと現れた】
“茶”を想像すると、やはり最初に静岡産の緑茶をイメージし、「あ~あのよく飲む緑茶の香り?」と思う人が多いと思うが、全く違うのだ。
一言で言うと、深くて香ばしい麦茶っぽい香り…とぼくらは感じた。
それでちょっとした甘み…もある。味もそんな感じで、緑茶のような苦味がなく、年齢問わず飲みやすい。子どもが緑茶を飲んだ場合、「にがい~」というのが最初の印象だと思うが、緑茶独特の味や香りは全くしない。
色は黄土色というか、明るい肌色…山吹色というのだろうか。
つくったばかりの晩茶をいただいた。紅茶と緑茶の中間…いや…どちらか言うと麦茶に近いような気がするが、麦茶よりも味が濃くて…“自然の香ばしさ”がする茶だった。
晩茶作業をしていたおばさんから、この周辺について説明を聞いた後、晩茶の葉っぱを干している現場を見学した。
【徳島県上勝町 – 映画「人生、いろどり」ロケ地をバックパッカーが“田舎旅”して駆け巡る。この写真は「神田茶の里」にある「猿滝」。上勝町は“葉っぱ”だけではない。水も豊富な町だ。町の中心には、勝浦川が流れ、山に行けば滝もある。どこに行っても水が流れている】
番茶/晩茶の歴史が長い上勝町
上勝町は、上勝晩茶(阿波晩茶)の発祥の地として知られ、上勝晩茶は800年も前から“秘伝の製法”でつくられている。以前、株式会社いろどりのインターンで上勝町へ来た時、そんな話しを聞いたことがあった。
この晩茶には、平安時代末期から鎌倉時代に遡る、伝承ストーリーがある。
平清盛を熱病から回復させるために、清盛の家臣(かしん)横尾権守(ごんのかみ)が、妙薬を探しに中国大陸に渡った。
その“妙薬”とやらが、“晩茶”の製法だったそうだ。しかし、晩茶の製法を中国で学び、帰国した時には、既に清盛は熱病で病死。そして、平氏は、「壇の浦の戦い」で、源氏に敗れたのだ。
その後、平家の落人となった横尾権守は、四国に下り徳島県日和佐から山に入り地田(じでん)の岩屋で休んでいた時にお茶の木を見つけた。そこで、中国で学んだ晩茶の製法を地域に伝えたのが「阿波晩茶」または「上勝晩茶」として今に伝わっているそうだ。
この製法の最大の特長は茶葉を乳酸菌で発酵する手法で、主に「後発酵茶(こうはっこうちゃ)」と知られる。
太陽を浴びて育った一番茶を手で摘み収穫し、茶葉を茹でて、約1ヶ月、木桶で乳酸発酵する。その後、天日干しにして、仕上げる。
“神田茶(じでんちゃ)”や“上勝晩茶”は、古来より不老長寿の妙薬とも言われ、製法が今に受け継がれているそうだ。
そんな製法と背景から、上勝のおばあちゃん・おじいちゃんたちは元気なのかもしれない…
ちなみに、漢字一文字違う“番茶”とは製法が全く違う。番茶の場合は基本、天日干しなど干すのみで終わる。
この上勝の晩茶の製法では、茶葉の天日干しの他、約1カ月間 乳酸発酵するなどの製法が加わっている。
ちなみにこの上勝の晩茶…
いろどりでインターンシップに参加し上勝に移住した井川圭太郎さんが今年(2012年)8月から、晩茶をペットボトル化した「いろどり晩茶」を、500ミリリットル158円で販売開始した。
今は徳島県内で売られているそうだが、全国での販売が開始されるのも近いかもしれない。
さて…アートスポット「もくもくもく」へと進む。(続きはこちら)
<次回のロケ地スポット: 映画「人生、いろどり」ロケ地 「江田家族の山」へ – 上勝のアート「もくもくもく」と「田野々の棚田」>
<前回の映画「人生、いろどり」のロケ地スポット: 映画「人生、いろどり」舞台 上勝町「江田家族の山」へ – 「かおり風景100選」の上勝晩茶「神田茶の里」 – 一話目>
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