2011.02: <九州>福岡県(小呂島)・長崎県(池島・五島列島)

day 87.3 ブロッコリーの“ぶうさん”(今田光弘さん)と初対面 五島列島・小値賀で

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ぼくらは、今田光弘さんこと…“ぶうさん”と美保さん宅へ向かった。(向かう前は森クリーニングにお邪魔してた…こちら

方向感覚はないほうだが、とりあえず…美保さんから小値賀 到着初日に描いてくれた大凡の地図をみて、ぶうさん宅方面へと向かった。(小値賀 到着の初日の話しはこちら

“ぶうさん”かぁ…実にユニークな名前で気になる…

名前のとおり!?顔がブタさんに似ていることから、昔からぶうさんと呼ばれているそうだ。

森クリーニング屋さん(笛吹)から、ぶうさん宅までは約20分。

五島列島・小値賀(おぢか)独特の赤土を活かしブロッコリーとかぼちゃを育てる“ぶうさん”と美保さんと(詳しい話しは翌日

ぶうさんの家は、斑島(まだらじま)と柳(やなぎ)方面へ行く道の分岐点あたりに位置する。

家にいなかったので、外で本を読みながら、ぶうさんと美保さんの帰りを待つことにした。

しばらくすると、“ぶうさん”らしき人が帰ってきた。

美保さんとは役場で既に出会ったが、ぶうさんとは初対面。

五島列島・小値賀(おぢか)のブロッコリーこのブロッコリーがぶうさんの!…もっと詳しい話しは翌日!

聞きたいことは沢山あるが…とりあえず、自己紹介だ。ぶうさんは、既にぼくらのことを美保さんから聞いていて、交番のほうに、ぼくらを探しに行ってくれていた。森さん宅へ行ったので、おそらくすれ違いになったのだろう。

ぶうさんは、8000平方メートルの小値賀独特の赤土の畑でブロッコリーとかぼちゃを育てている。小値賀に移住して今年で9年目。美保さんは4年目

ぶうさんは平塚出身。ぼくが出身の鎌倉とも近い。前職で転勤となり、宮城・仙台に引っ越し、30年以上、平塚に帰っていないそうだ。

「島にはロマンがある」とぶうさんは島に憧れ移住した。自分たち食べられるものは可能な範囲でつくっている。半自給自足的なライフスタイルを送っている。さすがに電気などは自給できない。(家庭用の風車、太陽光、水力などから十分な電気を自給することはできないのだろうか…)

これら背景には、「おそらくボーイスカウトの影響が大きかったのだろう」と話していた。

五島列島・小値賀(おぢか)ブロッコリーのぶうさん宅…詳しい話しはまた翌日!

ぶうさんと同じく、ぼくもボーイスカウトに属し、島に憧れ、自給自足のライフスタイルに興味がある。五島列島への“田舎バックパッカー”旅前、ぼくらは、能登半島の先にある舳倉島(へぐらじま)、四国の怱那諸島(くつなしょとう)の興居島(ごごしま)や怒和島(ぬわじま)、伊吹島(いぶきじま)、沖の島伊島八幡浜 大島日振島(ひぶりじま)小呂島(おろのしま)など…島々の田舎を中心にバックパッカー旅をしている。

気候も心地よく過ごせる九州が良かった。一番の理想ではないかもしれないが、前職で精神的にマックスになったときに、タイミングよく小値賀と出会った」そうだ。人生の“転機”という時期だ。

前職では、土地区画整理事業(とちくかくせいりじぎょう)の公団/町づくり関係の企業に勤めていた。(神奈川であれば)港北ニュータウンみなとみらいなどが町づくり関係企業の事業例だ。

新しい町をつくるためには、人を含め、元々あった町をどこかへ移転しなければいけない。住民と補償交渉も必要となってくる。この町づくり計画のベースとなっているのが土地区画整理法

五島列島・小値賀(おぢか)の海…これが本当に綺麗なんだ。しかも深呼吸しすぎて…海の中に溶け込みたくなるぐらい静かで落ち着く…

土地区画整理法が施行されると、その地域の住民や土地所有者は、移動する対象となってしまうらしい。これはかなり法的拘束力が強いようだ。

土地区画整理事業者は、町移転のスケジュールを組んだり、移転する住民や事業者と交渉もする。交渉は外部に委託することが多いようだが、難航する地権者がいた場合、土地区画整理事業者が直接交渉する。

町づくりのために、その対象となる地域の企業、住宅、お店からJRの線路まで、地域にある全てを移転させなければいけない。補償金含め、莫大な費用がかかるそうだ。

ぶうさんは、小値賀に移住して就農するまで、土地区画整理事業の仕事を約20年していたそうだ。話しを聞いただけでもきつく辛そうな仕事に聞こえる。

前職を離れ、その後、小値賀町担い手公社(にないてこうしゃ)の農業研修に申し込み、原則2年間、約10万円/月の賃金支給のもと、農業を教わった。研修終了後、小値賀で就農することが条件。研修終了時から5年間、農業を続けなければ、賃金の返還も交換条件になるシステムとなっているそうだ。また就農後、準備金として50万円の交付もある。ぶうさんは就農して既に、5年以上過ぎているので、この研修システムを終えている。

五島列島・小値賀(おぢか)印象に残った今日のカレンダーの格言

ぶうさんは、もう少し田舎で、水が綺麗で豊富な地域に暮らすことも視野に入れていたそうだ。

小値賀の標高は約100メートル。水源が少ないのか、水道代がかなり高いそうだ。ほとんどの家に井戸があるそうだが、ぶうさん宅にはない。ブロッコリーやかぼちゃを育てる他、完全無農薬で家庭菜園もしているが、鳥が多く、野菜が食べられてしまい大変だそうだ。

現在、ぶうさんと美保さんが借りて住んでいる家は、“旧廃屋”だった。

土地の代表の一人と交渉して、賃貸者契約書をつくり、契約を交わしたそうだ。さすが、前職からなのか、そのあたりの情報に詳しいぶうさん。

都会で土地を持っている場合、資産価値があり “プラスの遺産” となる。

しかし、相続権者は田舎に土地を持っていてもお金にならず、持っていてもメリットがないのだ。そのため、単純に税金がとられるだけで放置状態。みな無責任にその家や土地から離れることも多いそうだ。

ぼくらも多くの廃屋となった家を、田舎で見ている。見ていると「良いところなのにもったいないよね~」と思うばかり。

基本、土地利用計画がないと、市も土地を買ってくれない。固定資産税がかかる上、建物の取り壊しで更に費用がかさむ。

田舎暮らしの本で、土地付きで数百万円から1千万円の家が載っているが、固定資産税や取り壊しにかかる費用などの背景から、実際のところ、そんなに高額な土地ではないことが多いそうだ。交渉次第で、さらに安くなるケースも多々あるようだ。ちなみに、小値賀の賃貸は、高くて2万円ぐらいだそうだ。

ぼくらが宇久から来たことを話し、「宇久では人口が減少しているようで大変そうでした」と話す。やはり吸収した佐世保に全てを持っていかれる立場になってしまうそうだ。小値賀にある役場の仕事がなくなる。

佐世保としては、離島の補助金が入る。しかし、実際、その補助金の全てが島のために使われるわけではない。宇久の予算は減っているそうだ。確かに宇久では、佐世保との合併が失敗だったと話していた人が多かった。小値賀でも人口の減少は進むが、今後も独立することを決めて、佐世保との合弁を見送った。

ぶうさん宅は、「民泊」プログラムに登録している民家の一つ。「民泊」プログラムはNPO法人おぢかアイランドツーリズム協会(IT協会)の取り組みの一つで、去年、延べ人数で100人以上が、1~2泊したそうだ。宿泊費の約30%がIT協会の手数料となる。ぶうさんはIT協会の非常勤職員も務める。ぶうさんは調理師免許を持っているので、学生が修学旅行で小値賀を訪問するときに、調理を担当する。(民泊や古民家に関する話しはこちら

JTBと小値賀は関係が強く、JTBが小値賀への旅行を全面的にバックアップ。高校の修学旅行に関しては、小値賀側と独占契約を交わしえいるそうだ。

などなど…三人で立ち話しを20分ほど…

約20分だったが、ぶうさんとの話しは“ぼくらの今後”にとって大変参考になる話しばかりだ。

“なにか”が見えてくるような気がする話しばかりで、聞き逃したくない。

ぶうさんはこれから畑仕事で忙しそうなので、「すみません。忙しそうですし、また後ほど、戻ってきたほうがいいですよね」とぼく。

ご馳走するから、明日、おいでよ」と言われ、ぶうさん宅に翌日の午後11:00ごろ伺い、お泊りさせてもらうことになった。

ぶうさんや美保さんのお話しを聞けることを楽しみにして、森さんの家方面へと戻った。

明日はメモ取りの嵐になりそうだ…続く

<前回のエピソード 『day 87.2 「飲んじょるか? ほら、飲みなさい!」 五島列島・小値賀の“終わらないビール”』>

<次回のエピソード 『day 87.4 森さん宅へ戻る前に…五島列島・小値賀の“IT協会”(おぢかアイランドツーリズム協会)へ』>

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1979年1月生まれ、東京生まれ鎌倉と米オレゴン育ち。鎌倉の中学校卒業後、オレゴン州の高校と大学を卒業。現在、石川県鳳珠郡穴水町岩車在住。ソニーやPR会社で広報業務に約10年間携わり、2010年10月、ライフスタイルの選択肢を増やすべく、日本の田舎/地方を中心に、テント・寝袋・自炊道具などを担いだバックパッカー旅を開始。以後2年半にわたり旅を続ける。「テント」ベースから、2012年5月以降は「バン」ベースのバックパッカーになりバンライフ開始。2013年5月、人口約100人の限界集落 能登半島・石川県穴水町岩車に移住。現在は、「田舎への旅」と「田舎でのライフスタイル」の二つを軸に、田舎旅やライフスタイルの情報発信、都市部の人たちが能登の暮らしを体感できる「“ざっくばらん”な田舎ライフスタイル体験」の提供を行なうほか、東京のスタートアップ/ベンチャー企業、移住先・能登や静岡県の中小企業の広報サポート、地域活性プロジェクトサポートにもリモートワークで従事。また、ブログやウェブ制作、写真、執筆活動なども行なっている。移住先で自宅がある岩車の隣の地区 穴水町川尻では、シェアハウス・サテライトオフィスなど多目的・多機能の「田舎バックパッカーハウス」、そこに併設する“住める駐車場”であり長期滞在可能な車中泊スポット「バンライフ・ステーション」も運営。現在、東京の“バンライフ”のCarstay(カーステイ)で広報責任者として関わりつつも、静岡県島田市で幻のきのこ“はなびらたけ”「ホホホタケ」を生産する大井川電機製作所、石川県輪島市では国産漆だけでアート作品をつくる“芯漆(しんしつ)”の山崖松花堂などの広報を担当する。移住先・石川県穴水町岩車で育てられた牡蠣の販売もサポートする。

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