2010年12月15日(水) – この日も強風が続いた。ぼくら田舎バックパッカーは昨日、四国最南端の高知県沖の島に到着し、同島の弘瀬にある港の待合所内にテントを張った。
【1月前後、高知県 沖の島の強風はこんな感じで、船はじゃばじゃばと水をかぶりながら、波をうまくよけて進む】
昨晩、待合所の外にテントを張り、テントの中には、ぼくらと2人の荷物計40キロが入っていたのだが、強風がおさまらず、テントが風で引っ張られてこわれることをおそれ、定期船待合所内にテントを張って、寝たのだ。
【高知県 沖の島 – 昨晩の寝床・テントスポットは、港の待合室】
テントに“体当たり”してくる風の音も半端ない音だった。
ぼくらは今日、沖の島を出るつもりはなかったが、船は強風の影響で欠航となった。
欠航になるということは、風速18キロ以上はある。欠航になると、新聞などの物資が沖の島に届かない。
スーパーで注文した食料なども届かないのだ。強風や荒れた海の影響を島は受けやすい。そのあたりは、島に住んでいる以上、受け止めなければいけない生活の現実だ。
この日のお昼頃、まずは市原商店に行き、昨日のシャワーのお礼を伝えに行った。
入口では、市原商店のお父さんが、伊勢海老(イセエビ)、タビエビ(別名:ゾウリエビ)を箱詰めして、発送の準備をしている。
【高知県 沖の島 市原商店前で、伊勢海老やタビエビを箱詰め中。これがタビエビ(別名:ゾウリエビ)】
タビエビとは、サンダルまたは足袋(たび)の形をしているので、「タビ」エビと呼ばれているそうだ。
【高知県 沖の島 市原商店で、伊勢海老やタビエビを詰め込んでいる】
タビエビは伊勢海老のように長くて細い足がなく、真中の体/身の部分だけで、その裏に数ミリの小さい足が沢山ある。
ここでは伊勢海老が一匹約1キロあたり6,500円で売られている。ぼくらも、市原さんに連絡をすれば、漁協や市場を通さなくても、直接、伊勢海老を購入することができるそうだ。
市原商店のお父さんが伊勢海老とタビエビを箱詰めしている様子を撮っていると、伊勢海老を両手に持って写真を撮らせてくれた。
軽トラックを背景にして写真撮影をしていると、「バック(背景)は海だろー」と、お父さんからの一声。背景を海にして、もう一枚撮影。
ぼくらは、市原商店よりも島の上の方にある「あったかふれあいセンター」へと向かった。
ここに、市原さんの娘さんの知佳さんが勤めている。昨日、「よかったら遊びに来てくださいねー」と親切に声をかけてくれたので、行ってみることにした。
この誰でも仲良くできそうな名前の施設「あったかふれあいセンター」は、高知県から福祉協会が委託を受けて、事業が開始された。年齢に制限なく、みんなで交流できる場所。
入ったらおばあちゃんたちが、部屋で交流を楽しみ、子どもたちは、お昼寝中。
【高知県 沖の島の「あったかふれあいセンター」勤務の市原知佳さん】
知佳さんは、教員の資格をもち、国語を教えることができるそうだ。ぼくらと話していると、知佳さんはたまにメモを取って、沖の島の方言を紙に書いてまとめていた。知佳さんからいろいろと、国の補助金で事業が開始された「あったかふれあいセンター」について聞いてみた。
【高知県 沖の島の「あったかふれあいセンター」勤務の市原知佳さん】
厚生労働省が実施しているふるさと雇用再生特別基金のもと、田舎で仕事を探している人たち向けに雇用機会を創出するためのプロジェクトの一環で、高知県は2009年4月から交流施設「あったかふれあいセンター」として事業化をし、地域に合ったかたちで施設の設置を促進しているそうだ。
【高知県 沖の島の「あったかふれあいセンター」に通う子どもたち】
ここはお年寄りのデイサービスの施設だったが、2010年10月1日に「あったかふれあいセンター」が沖の島で発足され、デイサービスと同じ場所を使って、事業が開始したのだ。
「あったかふれあいセンター」は、国の特別交付金(補助金)で成り立っていて、補助金が提供される期間は3年間。ただ、もともとデイサービスがあったところに、“同じような”「あったかふれあいセンター」という場が作られることに関しては、ちょっと微妙な補助金の使い方なのかもしれない、とぼくは感じてしまった。
【高知県 沖の島の「あったかふれあいセンター」の誠さん。おばあちゃんたちを送る優しい誠さん】
黒ぶち眼鏡をした誠くんもふれあいセンターで働いている。おばあちゃんたちにすごく優しい若者。
この「あったかふれあいセンター」では、子どもの面倒も見ている。しばらくすると、昼寝をしていた、いづみちゃんが起きてきた。いづみちゃんは、絵を描くことや、カメラで写真を撮ることも好きだ。
いづみちゃん、結花、ぼくはお互いの絵を描きあった。絵を描くなんて、久しぶり。高校や大学のときに、よく絵を描いていたが、大学を卒業してからは全く描いてなかった。
窓から外を見ている知佳さんが「ちょっと来て来て。すごいでしょ」とぼくらに声をかける。荒波で磯釣りの船が出航している。今日は、風速18メートル以上あるので、定期船は欠航。
この磯釣りの船はいまにも転覆するかのよう、海を進むと船の先端が海の中に入り込み、何とか浮上しながら進んでいた。
そんな船が数台、出向していた。あんな状態で、お客さんを磯におろすことができるのだろうか。本当にすごい波だ。
【高知県 沖の島の「あったかふれあいセンター」から家へと帰って行くおばあちゃんたち】
「ふれあいセンター」からおばあちゃん、おじいちゃん、子どもたちが、家に戻っていき、ぼくらも「ふれあいセンター」を出発して、また島の散策をした。(続きはこちら)
【高知県 沖の島 石造りの道の外壁、家には干棚(ひだな)がついてる。道や家の造りなど、村全体が本土の造りとは違う。外壁などが石で造られ、どっしりと“頑固”そうで頑丈そうな土台に、家がゆったりと“胡坐(あぐら)”をかいている。家には文字や絵が描いてあったり、カラフルに色をつけていたりと、個性があり、優しさと穏やかな雰囲気が感じられる】
【表紙の写真: 高知県 沖の島 市原商店前で、伊勢海老と記念撮影。「バック(背景)は海だろー」と言われて撮り直した写真】
<前回のストーリー 『day 50.4 高知県鎌倉とつながっている石造りの「沖の島」』>
<次回のストーリー 『day 51.1 高知県 沖の島の市原商店での夕べ ~ 人生の流れを創造するのは自分 ~』>
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