熊本県宇城市三角町 – おばさんは、ステージでの演劇や歌のための、ドレスを補修している。(前回の話しはこちら)
昔は、剣士関連の関ヶ原、伊達正宗など、剣を使って歴史的な演劇をしていたそうだが、足を悪くして、今では歌うのみ。
子育てが終わってから、演劇や歌などを始めたそうだ。
「もうそろそろあの世生きよー」と、おばさんは冗談で笑いながらぼくらに言い、「私いくつに見える?」と笑顔で聞いた。
「ん~~50代ぐらいですか?!」と答えると、「うまいね~」と皆でげらげら笑うが、ホント…それぐらいに見えたわけだ。
このおばさん、実は既に75歳。名前は坂園さん、出身は関西エリア。
坂園さんは戦争の経験者だ。坂園さんが小学校2年生の時に終戦した…などなど、話していると、東北沖大震災の話になった。
「東北沖地震は大変だが、戦争のころはもっとひどかった」の一言から…戦争に関する話しが始まった。
戦争の被害状況は今震災現場で起きている大震災の被害状況に似ているところがあるが、当時 戦争で被害を受けた場所には、“支援”がなかった
と話す。戦争当時、坂園さんは疎開して、九州へ移住したそうだ。
ぼくらもいずれ、田舎移住を検討しているが、ぼくらの“移住”とはわけが違う。
震災や戦争が起きたとき、現在では、国内外の支援システムが整っているが、当時の戦争では支援なんて存在しなかった。
お風呂も入れず、頭には虱(しらみ)がわき、白い粉のようなものを頭につけて、タオルで頭を巻いて、虱を殺して、死んだ虱を頭から落としていたそうだ。
常にB29戦闘機の恐怖もあった。
空襲があるときは、全身を畑の泥に沈めて、息を殺して撃たれないように死んだふりをしていた。
お金には価値がなく、田舎では物々交換が基本。
農作物と着物などを交換していたそうだ。衣類と食べ物が生きるために重要だった。
たまに、災害と戦争の違いについて、人に聞かれるそうだが、坂園さんは
災害/震災があった場所に、“敵の弾がばらばらと落ちてくる恐怖”と、“支援がない”をイメージしてほしい
と回答するそうだ。
「人生の中で“苦労”があると、その教訓からか…“楽”になったとき、ありがたく感じるだろう」と…締めくくった。
坂園さんから、ミカンに似た果物のデコポンと飴をいただいた。
皮が厚くなったミカンのようだが、かなり甘くて美味しい。この前食べた愛媛県の興居島(ごごしま)みかんより甘いかもしれない。
「ところであなたたちどこに泊るの?」と、おばあさんに聞かれた。
「ぼくらは、テントと寝袋で寝泊まりしてるんですよ」と答える。
「それは安いわね。ホテルとかもったいないしね。あなたたち利口ね。そんな旅経験も貴重ね」と言われる。
そう言われたのは初めてだ。
このあたり周辺で、テントを張れそうな場所について相談すると、「近くの公園で張っても大丈夫だろうし、早く片付ければ、お店の側でも大丈夫だろうよ。特産物店前の屋根があるところでも大丈夫じゃない?」とアドバイスをもらった。
坂園さんは17:00ごろ、お店を閉めて、家に帰って行った。毎日、9:00ごろ、お店はオープンするそうだ。
お店を出た後、売店で、黒糖パン、たこの姿焼き煎餅を買う。
瓶からペットボトルに入れ替えたウィスキーと一緒に食べた。瓶のままお酒を持ち歩くと…重いのだ。
この黒糖パンは手作りで、中に何粒もの大きい黒糖が入っている。このパンは美味しかったので、2つも買ってしまった。
さすがにお店の側/すぐ隣でのテント泊は気が引けるので…
今日はこの近くの海辺の公園でテントを張って、翌日を迎えることにした。
明日は天草だ。
ぼくらの今後の人生を変える一つの“きっかけ”となる人との奇妙で“微妙な出会い”が天草で待っている…(続きはこちら)
<前回のストーリー: day 95-96 バックパッカー、夜行バスで横浜から博多経由 天草へ>
<次回のストーリー: day 97 熊本県天草 朝から公園でドライカレー作るバックパッカー夫婦>
結花のブログはこちら
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