2011.02: <九州>福岡県(小呂島)・長崎県(池島・五島列島)

day 86 田舎バックパッカーが“子牛”の競り『牛市』に参加?! 舞台裏も特別見学 五島列島で ~“美味しい牛”ってどう判別するのか…? 高級ブランド牛が宇久から産まれる~

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201125日(土)朝、起きると、絵美さんが机に朝ごはんを準備してくれていた。通常、テントを張って寝泊まりしているぼくら。長崎県大瀬戸から始まり、今日で6泊連続の“民泊(みんぱく)”となる。九州での田舎バックパッカー旅実に温かい人たちに囲まれている

酒屋「エトワール」にいる畠中絵美さんから電話があり、「そうそう。猪鼻くんに、良い物件があるから紹介してあげるって伝えといてよ」と伝言を受けた。
昨晩、観光協会の猪鼻さんが近々、引っ越すことを考えていることを絵美さんに伝えたばかり。すぐに行動にうつしてくれた。どこまでも面倒見がいい絵美さん。
今日、次の五島列島の小値賀(おぢか)へと向かうので、バックパックに荷物をまとめ、絵美さんの酒屋「エトワール」へと向かった。絵美さんからは、「小値賀へ行くなら、野崎島へも行くといいわよ」と、再度すすめられた。
さて、今朝だが…宇久で育てられた子牛の競り『牛市(うしいち)』へ行くか、小値賀へと進むか…
現場を見てみたいが船の時間があったので、少し迷っていた。
まぁ、小値賀は待てるな…。今、宇久島にいることだし、“今”を大切にして「牛市」へと進む。
猪鼻さんとメールをやり取りしていると、猪鼻さんも「牛市」に行くと返信があった。港で「牛市」が開催されると勘違いしていたぼくらは、猪鼻さんに車の同乗をお願いし、会場へと向かった。
宇久では島のあらゆるところで、全国の美味しい“松坂牛”、“神戸牛”などのブランド牛となる“子牛”を育てている。(別途、宇久島の牛に関して聞いた話は
牛市会場の入り口や駐車場に入る前、車や靴などを消毒して入らなければいけない。会場の入り口には、靴を消毒するための消毒液が置いてある。これに靴底をつけて消毒して、会場内に入る。
会場では牛が「ムームー、モーモー」と絶え間なくないていて、牛独特の匂いがする…

五島列島・宇久島(宇久島)の子牛の競り「牛市」会場のステージ左右には、
宇久島と小値賀のポスターが壁に貼られている。
今では、宇久島のほうが牛の頭数が多いため、宇久が会場になる。
会場でベルが鳴り、「牛市」が13:00に開始された。入札者には、「子牛せり市出場名簿」が配布される。ぼくらは見学者だったが、特別に資料をいただいた。ちなみにこの競りは昔、小値賀で開催されていたようだが、宇久の家畜農家や牛の頭数が多くなり、会場が宇久島になったそうだ。
会場では、牛の体調、口蹄疫(こうていえき)などをチェックする家畜診療所の所長/牛獣医師の中川尚さんや現場にいる家畜農家さんたちから「牛市」について、いろいろと教えてもらった。牛の体調…どう管理されるのか?牛の体調管理など、見た目で健康状態をチェックするそうだ。
牛市年に62カ月に一回)開催される。
関西や九州本土などあらゆる家畜農家も競りに参加するが、農家より各地域の農協が仲介業者/代表として競りに参加して、宇久の“子牛”を買いに来るそうだ。一度の競りで300頭ほどの牛が売られる。御産の季節を経て、約810ヶ月間、子牛を育てて、「牛市」の競りで売る。
会場では、一頭ずつ鎖で連れられた牛がステージ上に入り、会場の席に座っている業者の人たちがボタンを押して入札し、競られる。会場には、約100名以上の入札者が座っている。
希望価格を示すために、牛を競りに出している家畜農家の本人も競り会場に入り、入札ボタンを押し、可能な限り希望価格まで値段をあげようとする。競られている牛を、連れて帰る人もいれば、再度競りに出す人もいるそうだ。
さて競られている牛だが…どのようにして美味しい“牛”と判断されるのだろうか?
ぼくら素人には、会場で競られている牛の違いがわからない。
親牛の血統、牛の体系によって、値段が変わる。雌が約35万円あたりで売れれば、良いほうだという。
「牛市」で見た牛の中で「安福久(やすふくひさ)」が一番高い価格の血統。
中には新しい血統の牛もいる。新しい血統の牛は、県の家畜改良を担当する部門がつくりあげるそうだ。長崎県が牛の血統データベースを分析して、最適同士の血統牛を一緒にさせて子を産ませる。年間で100頭近い子牛が産まれる。各県で牛の血統データベースがあり、そのデータをベースに、血統を組み合わせている。

五島列島・宇久島の牛市
競られる宇久と小値賀の子牛(生後8~10ヶ月)

しかし、実際どのような子牛が産まれるかは、わからない。最終的な牛の評価は、消費者がその牛を口に入れて、初めてわかる。
さっき20万円で売られた牛がいた。この牛の血統は良いそうだが、発育が少し悪かったらしい。病気になりやすかったり、血統の掛け合わせが悪かったりするなど、子どものときに発育が悪かった牛は、10万円もしない。

五島列島・宇久島 子牛の競り「牛市」のステージ上に立つ前の牛たち
お世話になった家畜診療所の所長/牛獣医師中川尚さん
ここで競られて、800kgまで育て、主に農協系列の食肉センターで、屠殺(とさつ)して解体する。解体する前にまず、ピストルの銃口から瞬時に発射される突起物が、頭または額に撃ち込まれ、一瞬にして失神させ神経を殺すそうだ。その後、解体作業へとうつる。解体後、再度、競りがある。
一連のサイクルをイメージすると、残酷かもしれないが…この肉を食べている自分がいる。
宇久で育てられた子牛が、競りのほとんどを占めるが、中には、平成6年生まれの親牛もいた。1516年以上 御産をした親牛が競りにかけられる。老いた牛なので、新しい牛に入れ替えられるのだ。親牛は(松坂牛、神戸牛など)“ブランド化”されず、そのまま食肉センターに直行されることもあったり、もう少し肉をつけようとする入札者もいるそうだ。
親牛10頭生んで、御産の作業が終わる。1年で一頭生まれれば順調という。そして、飼っている牛の1割(10頭のうち一頭)を残すことで、牛の頭数を維持する。今回競りにかけられたのは、約320頭。
(オス)は、去勢(きょせい)され売られる。去勢をしたほうが、脂肪交雑が高く、サシ(脂)が入りやすくなる。血統が一番重要だが、サシによっても値段が決まってくる。
(家畜農家は一生懸命、牛に美味しい飼料を食べさせるため、牛はたまにお腹をこわしてしまうそうだ。そんなことから、牛への注射は頻繁にあるそうだ。
競りにかけられる前に、会場で牛の最終の体重を量る。
競り会場の外には、多くの牛が並べられ、会場(ステージ)に入る準備がされている。この「牛市」のため、農家は前日、牛の体の汚れを洗い落とす。
親一頭利益約10万円でればベスト。大体、平均で56万円。
売上は一頭で(競りの)平均価格40万円10頭飼って、100万円の利益が出れば良いほうだ。
宇久では、一軒の農家あたり、平均12頭が売られるそうだ。多くて80。1頭40万円だとしたら、1頭約30万円が経費。餌、飼料代がかかる。自身で草を作っている農家もいるが、多くの牛を飼っていれば燕麦(えんばく)などの飼料を購入する。
年末、農家でもろもろの支払があるために、11月の「牛市」で、一番多い頭数が売られる。
家畜を兼業・趣味・専業として事業を行っている人たちなど、様々な農家がいるらしい。家畜を専業している人は、50飼えば、(1頭あたり10万円の儲けだとしたら)年収約500万円になるが、現実そう簡単ではないそうだ。
口蹄疫(こうていえき)問題で、牛の殺処分が相次いだ宮崎県。そんな状況下、多くの雌(めす)を死なせたので、その分、繁殖用としても、宇久島の市場で、牛が高く売られる。あらゆる家畜動向があるため、一頭の牛から必ず10万円の利益を見込むことは難しい。
五島列島・宇久島 「牛市」ステージの競りの価格ボード
今日、多い人で10。鳥山幸喜さんがこの島で、一番多くの牛を飼っている。最大手の家畜屋だ。年に約70頭近く、牛を売っているそうだ。
昨晩出会い、今日「牛市」のバックステージ(裏側)にいた神原さんと、今日「牛市」でいろいろと教えてくれた中川さんのお陰で、ぼくらは特別に競りのバックステージへと入ることができた。このステージには、パソコンが並べられ牛情報が入っている。

五島列島・宇久島 子牛の競り「牛市」のステージ・バックステージ
ステージ上には、電子掲示板があり、血統情報などの競り情報が、赤い文字で書かれている。

マイクでアナウンスする人が、「239kgの雌牛です15万円からいきましょう。32万から40万。43万円から45万円。455000円は71番さんです。ありがとうございました」、「273kgの去勢牛です。27万からいきます。40万円から47万円。50万。507000円…。285kgの去勢牛です。35万からいきましょう。43万から47万円…」と、最終のブザー音で買い手が決まる。

五島列島・宇久島の牛市
競られている宇久と小値賀の子牛(生後8~10ヶ月)

ステージにいた神原さんに挨拶をして、外へ出る。競りで落とされた牛は、買い手の業者用の柵に連れて行かれる。柵には、購買者に振り分けられた番号が貼られている。その側には、牛が乗せられる、トラックが並べられている。ぼくがこのエリアに行ったときは、三重の松坂牛の人が多くの宇久牛を買っていた。

五島列島・宇久島であらゆる地域の農協や
家畜農家が落札した子牛は購入者の柵に移動される
全ての会場には、牛を軽く連れていくために、会場の上にレールが付けられている。カーテンのレールが牛用につくられているようで、レールのフックには鎖、ロープがぶら下げられ、それが牛の鼻につけられて、会場と柵間を移動される。
五島列島・宇久島の競り「牛市」でいろいろとお世話になった
家畜診療所の所長/牛獣医師中川尚さん
牛を見ていると、「本当にこの牛を食べていいのか」「牛は、食べられるために産まれてきたのだろうか…」と思いつつ、「自分は牛を美味しく食べている…」と、複雑な勝手な考えが自分の頭を舞うが、これからも美味しく牛肉を食べるだろう、と思った自分であった。
さぁ、これから次の五島列島の島…
小値賀だ!(続く

IKU - INAKA Backpacker

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1979年1月生まれ、東京生まれ鎌倉と米オレゴン育ち。鎌倉の中学校卒業後、オレゴン州の高校と大学を卒業。現在、石川県鳳珠郡穴水町岩車在住。ソニーやPR会社で広報業務に約10年間携わり、2010年10月、ライフスタイルの選択肢を増やすべく、日本の田舎/地方を中心に、テント・寝袋・自炊道具などを担いだバックパッカー旅を開始。以後2年半にわたり旅を続ける。「テント」ベースから、2012年5月以降は「バン」ベースのバックパッカーになりバンライフ開始。2013年5月、人口約100人の限界集落 能登半島・石川県穴水町岩車に移住。現在は、「田舎への旅」と「田舎でのライフスタイル」の二つを軸に、田舎旅やライフスタイルの情報発信、都市部の人たちが能登の暮らしを体感できる「“ざっくばらん”な田舎ライフスタイル体験」の提供を行なうほか、東京のスタートアップ/ベンチャー企業、移住先・能登や静岡県の中小企業の広報サポート、地域活性プロジェクトサポートにもリモートワークで従事。また、ブログやウェブ制作、写真、執筆活動なども行なっている。移住先で自宅がある岩車の隣の地区 穴水町川尻では、シェアハウス・サテライトオフィスなど多目的・多機能の「田舎バックパッカーハウス」、そこに併設する“住める駐車場”であり長期滞在可能な車中泊スポット「バンライフ・ステーション」も運営。現在、東京の“バンライフ”のCarstay(カーステイ)にフルタイム広報として関わりつつも、モノのレンタルや借り放題事業を行う「flarii(フラリー)」、“遊び”を取り入れ人間関係“つながり”をリモートで構築する「バヅクリ」、静岡県島田市で幻のきのこ“はなびらたけ”「ホホホタケ」を生産する大井川電機製作所、石川県輪島市では国産漆だけでアート作品をつくる“芯漆(しんしつ)”の山崖松花堂などの広報を担当する。移住先・岩車で育てらた牡蠣の販売サポートも思っている。

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