2011-02 Backpacking Kyushu - 九州へのバックパッカー旅

day 81.9 長崎県池島 熱すぎる柔道家との“焼酎ナイト” ~ 人生 逃げずに立ち向かう ~

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2011年1月31日(月) – ぼくらは炭鉱で栄えた長崎県の池島に到着した。(前回のストーリーはこちら

池島に入るまでのシナリオはざっとこんな感じである。ぼくらは相変わらず、60リットル級のバックパックにテント、寝袋、衣類、PC、自炊道具(飯盒や鍋)などを担いで、九州に向けて1月24日に鎌倉を出発した。

福岡県 小呂島での学校の先生たちやEXILEボーカル・オーディションのファイナリスト10人の内1人に選ばれた島田乾生(しまだげんき)くんと乾生くんの家族との出会いから始まり、長崎県 大瀬戸にある“もちもち”したメロンパンが美味しいパン屋の岡崎好昭(おかざきよしあき)さんや一生(いっせい)さん、池島のIさんなど、予想外に寒い九州で、“炬燵以上”に温かい多くの人たちとの出会いに恵まれ、田舎を駆け巡るバックパッカー旅をしている。(島田乾生のストーリーはこちら。岡崎さんのストーリーはこちら

さて、引き続き、池島での、2011年1月最終日の話しに戻る。

ぼくらは今夜のテント泊スポットを見つけ、銭湯へと出かけた。テントを張った場所は、スクーター2台が置いてあった駐車小屋。この2台のスクーターは使用されているのかはよくわからなかった。

銭湯に入ると、男湯で柔道家のIさんと出会い、「お泊りオファー」を頂いたのだ。なんと!偶然にも、ぼくらがテントを張った場所にあったスクーター2台が、Iさんのスクーターだったことが、後で判明した!

しかも、昼間出会った雄二くんやこうじくんは、Iさんの甥っ子ということも、銭湯でわかった… 小さな島だからだろうか、実に“つながる”出会いの連発である。

どうやら、ぼくらとIさんは、遅かれ早かれ“出会う運命”にあったようだ。

入浴後、雄二くんとこうじくんに、Iさんのアパートまで連れてってもらった。前回の話しで書き忘れてしまったが…雄二くんの“若い紳士的な”雰囲気は、演歌歌手の大江裕(おおえ ゆたか)さんに実に似ている…。大江裕さんのサイズを小さくしたバージョンが雄二くんだ。まぁ、それはともかく…

そんなこんなで、Iさんの家で、“焼酎ナイト”が始まった。長崎ちゃんぽんのカップラーメンもご馳走になった。焼酎を飲みながら、Iさんストーリーを聞く…

Iさんは、池島炭鉱での仕事のために、ここに移り住んで約30年経つそうだ。Iさんは池島で仕事をしつつ、柔道中心の人生を歩んできたことが家に入るとわかる。家のリビングには、炬燵とソファーがあり、炬燵が置いてある前の壁には、柔道の思い出写真や記事が沢山張られている。“焼酎ナイト”のほとんどの会話は、Iさんの柔道中心の話しで盛り上がった。

長崎県 池島 アーバンマイン 炭鉱

【現在、長崎県 池島を散策中】

柔道に対する情熱が人一倍強く、何の話しをしても柔道の話しに舞い戻るのであった。柔道の話しは少し後にするとして…これまでIさんは池島でどんなことをしていたのだろうか…?

池島炭鉱に入社後、炭鉱では、測量を担当し、坑道の掘削(くっさく)の計画のために、炭鉱内の坑道などの形状、面積、位置などを測定して一目でわかるように図示していた。

測量だけでなく、採掘現場の監督もした。作業員の規則遵守の徹底や、坑内に入る海水、メタンガスなど、現場の安全性の確認も担当していた。この係員になるために、鉱山保安法に関する国家試験も受けて資格も取ったそうだ。

Iさんは常に、池島のことをものすごく熱ーく語るのだ。「中川さん!」と、ぼくを常にビックリさせるような掛け声から、いわゆる体育会系の会話というのだろうか…柔道に関する話しがスタートする…

“とにかくぼくは柔道です”オーラが感じられるIさん。Iさんは高校で、長崎県を代表する柔道選手 中島直次郎さんという人から、柔道を学んだそうだ。その頃から柔道を続けている。

池島の小中学校(現在 生徒数7人)で、柔道部を立ち上げたが、今は部員が全くいないため、休部になっている。



そして、話しの節々に「人生!逃げずに向かっていくことが重要ですよ。先輩!兄貴!中川さん!」と、何度も常に張りきった口調で話し続ける。

和歌山県でいじめられて、お爺ちゃんとお婆ちゃんがいる池島に来て、柔道を始めた子もいた。

「柔道では、常に強い人に向かっていかなければいけない。柔道をすることで、人生の壁に対して向かっていく気持ちが強くなるんですよ!」と熱い口調で語る。

(今日、銭湯で出会ったばかりで、“先輩”でもないのだが…柔道的話し方からだろうか…)「中川先輩!」と声をかけられ、「私の自慢があるんですよ」と。「皆、黒帯をとって、卒業していきました!」と続ける。

ぼくらが、「長崎市設池島総合食料小売センター」で出会ったIさんの弟さんも、37歳のときに、Iさんから柔道を習い、黒帯を取った。雄二くんも柔道をしたそうだが、途中で辞めたそうだ。

柔道の教えは、仕事にまで拡大していった。リビングの壁に張られた写真を指して、「115キロのぶぅちゃんも黒帯とったんですよー」など、これまでIさんが監督をしてきた柔道生徒の“黒帯取得”ストーリーが続く。Iさんは、インドネシアやベトナムから池島へやってくる炭鉱研修生にさえ、柔道を教えていた。

長崎県 池島 炭鉱 散策中

【現在、長崎県 池島を散策中。港周辺】

1人のベトナム人は池島で柔道二段をとって、帰国したそうだ。今でもベトナムで柔道を続けている。佐世保(佐世保柔道協会)で毎月試合があり、そこで“勝てば”段をもらえる。

単に試合をして“良い”柔道をしただけでは、二段を取ることはできない。ちなみに黒帯をとるには、約1年かかると言う。最低、4人に勝ちぬかないと、黒帯を取れないそうだ。

「この島は“雰囲気が良い島”なのに、人がいなくなってしまい…寂しいし、過疎がどんどん進むのがもったいないですね」と話した。アパートなど、人が住める場所があるのに…「子どもたちの故郷をとっておきたい」とIさんは話す。

「生きがいのある島を作ることが目標だったが、雇用先がないのが現実だ」

池島では、魚釣りや農業もできる。良い意味で池島にはなにもなく、忙しい毎日から離れ、静かにゆっくりとした時間を過ごせるような島というのが、ぼくの印象だった。池島では、炭鉱の見学ツアーも行っているが、参加費用がちょい高い…

「明日も池島にいるの?」と聞かれ、「はい。明日もいる予定です」と答えると、「きみたちも変わってるねぇ」や「テントでは寝られるの?」と、Iさんは笑いながら、これらの質問を何度も聞いてくる…みんな焼酎で若干良い気分になっている。

結花は、途中で、寝始めてしまったが、ぼくはIさんと飲み続けた。「ぼくらの第一印象はどんな感じでした?」と寝る前にこんな質問を聞いてみた。「そりゃぁ、もう会った瞬間に、良い人だと思ったよー」と言う。素直に嬉しかった。

そして、「柔道はいいですよ、中川さん!」のIさん発言は、一晩中、繰り返された。今日は午後に池島について、あまり散策できてないので、明日、池島を散策しようと思っている。(続きはこちら

<前回のストーリー 『池島の男湯で…柔道家・Iさんとの出会い…そして…~』>

<次回のストーリー 『池島の「かあちゃんの店」の最高に美味い650円“かつ丼”~』>

※更新内容: Iさんから以前、本記事の掲載について、ご了承・ご理解を得ていたのですが、Iさんご本人からのご連絡でもろもろの事情があり、今回、名前をIさんに変更しました。ご理解のほど、よろしくお願いいたします。

九州 池島 焼酎 長崎県 池島

 
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1979年1月生まれ、東京生まれ鎌倉と米オレゴン育ち。鎌倉の中学校卒業後、オレゴン州の高校と大学を卒業。現在、石川県鳳珠郡穴水町岩車在住。ソニーやPR会社で広報業務に約10年間携わり、2010年10月、ライフスタイルの選択肢を増やすべく、日本の田舎/地方を中心に、テント・寝袋・自炊道具などを担いだバックパッカー旅を開始。以後2年半にわたり旅を続ける。「テント」ベースから、2012年5月以降は「バン」ベースのバックパッカーになりバンライフ開始。2013年5月、人口約100人の限界集落 能登半島・石川県穴水町岩車に移住。現在は、「田舎への旅」と「田舎でのライフスタイル」の二つを軸に、田舎旅やライフスタイルの情報発信、都市部の人たちが能登の暮らしを体感できる「“ざっくばらん”な田舎ライフスタイル体験」の提供を行なうほか、東京のスタートアップ/ベンチャー企業、移住先・能登や静岡県の中小企業の広報サポート、地域活性プロジェクトサポートにもリモートワークで従事。また、ブログやウェブ制作、写真、執筆活動なども行なっている。移住先で自宅がある岩車の隣の地区 穴水町川尻では、シェアハウス・サテライトオフィスなど多目的・多機能の「田舎バックパッカーハウス」、そこに併設する“住める駐車場”であり長期滞在可能な車中泊スポット「バンライフ・ステーション」も運営。現在、東京の“バンライフ”のCarstay(カーステイ)で広報責任者として関わりつつも、静岡県島田市で幻のきのこ“はなびらたけ”「ホホホタケ」を生産する大井川電機製作所、石川県輪島市では国産漆だけでアート作品をつくる“芯漆(しんしつ)”の山崖松花堂などの広報を担当する。移住先・石川県穴水町岩車で育てられた牡蠣の販売もサポートする。

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