2011年1月4日(火) – ぼくら田舎バックパッカー夫婦は前日、石川県穴水町(あなみずまち)での体験住居プログラム「ちょい住み体験」のために、夜行バスで鎌倉を出発した。
穴水町に2週間滞在する予定。
【穴水町役場の新田信明(にったのぶあき)さん(現在(2011年10月)穴水町の議会議員)と結花】
7:50AM、雪が降る金沢駅(石川県)に到着した。
8:10の七尾駅(ななおえき)行きの電車に乗る。雪が降り、電車から見えた池は凍っていた。
とにかく寒そうだ。穴水にも雪が降っているのだろうか…
七尾駅に着き、のと鉄道に乗り換え、穴水駅へと向かった。去年10月、のと鉄道に乗ったときにいたフレンドリーな女性の車掌さんがいた。
【穴水駅と七尾駅間を走る のと鉄道】
穴水駅に到着
「去年夏にも来ましたよね?」と、ぼくらのことを覚えていてくれた。穴水町に行く前に嬉しいウェルカムな一声。
のと鉄道内や鉄道の駅でポスターを見かけたが、能登半島のあらゆる町では1月に、牡蠣祭りを開催している。
穴水町でも今月末に、毎年恒例の大規模な牡蠣祭りが開催される予定だ。
ぼくらもこの2週間で、最高の牡蠣を食べられることを期待しているところ…
穴水駅 到着前に、鈴木久善(すずき ひさよし)さんにSMSで連絡をした。
鈴木さんは、穴水町の地域活性化プロジェクトの仕事に携わるNOTO-Shift(ノト シフト)の代表。穴水駅近くにオフィスを構える。NOTO-Shiftの名称は、NOTO(能登)を活性化させる方向に転換(Shift))させていきたいという想いからつけられた。
穴水町の人口は現在(2011年8月)、2010年に1万人を下回り、9,918人となった。
20~30代の若者が少ない町。穴水町出身の若者は故郷に戻りたい意志はあるが、雇用先がないため戻って来られないのが現状。
多くの店では、仕事を次ぐ後継者もいない。
「田舎には良い場所が沢山あるのに…もったいない」と感じるばかりである。
ぼくらが行った多くの町や村が同じ状況だった。良い場所ばかりだが、そこでは過疎化が急速に進んでいた。
一部の島では、子どもがいないことから、小学校が廃校や休校となっている。
問題は、“仕事がない”という深い思い込みなのである。
地方でその時代に合った仕事の創造と、仕事に工夫を取り入れる前向きな姿勢がないと、都会への人口一極集中は進むばかりで、田舎や地方は、若者の人口流出による、過疎化が進む一方だ。
また2007年3月に起きたマグニチュード6.9の能登半島地震で、震度6強を観測した穴水町では多くの商店が潰れてしまった。大地震による影響は大きい。
能登半島地震…地元の人たちは、もちろん覚えているが、県外の人々で、当時起きたことを覚えている人たちはいるのだろうか。ぼく自身…すっかり忘れていた出来事だった…
忙しく毎日が終わる現代社会、短期的に出来事はニュースとして取りあげられるが、数年経つと記憶の奥底に積みあげられ忘れられていく…
また、自身と関わりが少ない町、遠い場所で起きている出来事になるにつれて、関心がなくなる人や関わりをもとうとする人が少なくなる。
最近では、安く別荘地を売る人も増えてきたようだ。穴水町の復興と活性化は現在も続いている。
穴水町では、スローライフ・スローフード(ゆとりある暮らしと自然豊かな食)のライフスタイルテーマに、地元の良さを地域内で再発掘し、地域資源を地域内外に向けて発信していくために、様々な取り組みを行っているそうだ。NOTO-Shiftの鈴木さんも、穴水町を元気にしようともろもろ取り組んでいる一人。
【NOTO-Shift(ノト シフト)の鈴木久善さん】
ノトリアーナって何?
NOTO-Shiftは、役場の仕事をアウトソースされ地域創り協議会の事務局を担い、穴水町の人たちと共に、「ノトリアーナ(NOTO and Italia From Anamizu)」プロジェクトを実施している。
能登半島は、地形を逆さにすると、イタリアの地形(ブーツ型)に似ていることから、能登(NOTO)とイタリア(Italia)をかけて、このプロジェクト名にしたそうだ。
2010年10月~12月、穴水町では、ノトリアーナのプロジェクトの一環として、能登の食材を主に活用し、能登の食材を幅広く知ってもらうために、「ノトリアーナ 創作パスタ 料理コンテスト」を実施。
このイベント/パスタ料理(パスタ、うどん、そば、ラーメンなどの麺類)をとおして、能登の食材の良さを探り、能登や穴水ならではのパスタメニューを開発することが狙い。
これに入選すると、「ノトリアーナ」の認定レシピになり、入選者のパスタ料理が、穴水町内の飲食店の新たな一品としてメニューに追加されるのだ。
ぼくらが去年10月に穴水町を訪れた際は、この創作パスタコンテストがちょうど立ちあがった時期だった。
その後、12月12日にグランプリ料理が決定した。その一品のグランプリに輝いたのが黒川薫さんの「能登牡蠣食いにこんかい菜パスタ」。
応募作品約80点から選ばれた一品で、パスタに七尾市、中能登町で育てられ“独特のほろ苦さと辛みがある”と言われる中島菜を練り込み、メインの具に牡蠣、糠味噌(ぬかみそ)漬けにした こんかイワシなど能登の食材を効果的に使ったそうだ。
2010年10月、初めて穴水町を旅したときに聞いた話しだ。
穴水町でのちょい住み田舎暮らし体験初日
さて、能登での田舎暮らしの初日の話しに戻ろう。
ぼくらは予定より早く穴水駅に到着した。
鈴木さんは既に駅でぼくらを待っていて、歓迎してくれた。さすが鈴木さん…
前回、能登半島に来た時、輪島を経由して、舳倉島(へぐらじま)に船でわたり、狼煙(のろし)など能登半島を半周し、穴水町に戻りバスを降りると、鈴木さんがバス停までクルマで迎えに来てくれたのだった。
今回もサプライズ歓迎だ。
朝から何も食べてなかったので、鈴木さんは、ぼくらを中華料理屋「香林(こうりん)」まで連れてってくれた。
鈴木さんがお店の人に「お客さん連れてきましたよー」と中に入る。ここでは、辛めの香林麺を食べた。
これがまた美味しいのだ。辛さと甘みがうまく混ざっている。このお店の店長は、ノトリアーナの創作パスタコンテストの審査員を務めた人。
【穴水町役場の入り口玄関】
12:00に穴水駅に戻り、前回 能登半島に来たときにお世話になった穴水町役場の新田信明(にったのぶあき)さん(現在(2011年10月)穴水町の議会議員)のお迎えを待った。
新田さんは、個人的にも穴水の良さを多くの人々が体験できるように、NPO法人「田舎時間」などで田舎体験に関する活動を行っている。
穴水町の活性化に取り組む重要人物の一人である。この活動をとおして、穴水町への移住など、都会から穴水町へ来る人々のサポートをしている。
この体験住居のプログラムも新田さんが発案したものである。
そんな新田さんの背景、ぼくらの「バックパッカー旅で田舎暮らしを知る」ことの背景が合致し、去年10月にぼくらが穴水町を訪問した際、新田さんは、一泊の田舎暮らしを快く迎えてくれたのだった。(その時のお話しはこちら)
その晩のご馳走の食材は、名前が独特のスーパー「どんたく」で購入したアオリイカ以外、全てが新田さん宅の畑で採れたものだった。
自分にとって理想のライフスタイル探し
全て新鮮な自然食。外の家庭農園では、獅子唐、茄子、ピーマン、白菜、そうめんカボチャ(糸カボチャ)、椎茸などを育て、冬には、魚、滋養強壮に良くコラーゲンたっぷりのナマコ、モズク、牡蠣などを捕ったりしているそうだ。
味噌は毎年1月に、地域の人々と一緒につくっている。牡蠣は最高に美味しいらしい…
そんな新田さん家族の「自分で食べる物は自分たちで作る」という、半自給自足的な生活スタイルにぼくは憧れた。
新田さんとぼくらはまず、穴水駅から役場へ行き、体験暮らしに関する申請書を含め、もろもろの手続きを済ませる。申請書には、名前や電話番号などの連絡先を書くだけ。
2週間以内(1月4日~16日)の滞在期間の費用、光熱費含め15,000円を支払いを済ませて、役場の新田さん、黒崎誠さん(課長代理)と体験住居の「能登椿崎別荘地」へと向かった。(続きはこちら)
<前回のストーリー 『day 58 再び能登半島の石川県穴水町(あなみずまち)に向けて出発 ~ 穴水での体験住居プログラム「ちょい住み」とは ~』>
<次回のストーリー 『day 59.1 能登半島の穴水町での田舎暮らしの家に到着 ~ 北國新聞の取材を受けるぼくら ~』>
Today is our first day to actually experience living in a rural / countryside area Anamizu Town.
When we were backpacking around Noto Peninsula in Ishikawa Pref, we visited Anamizu last October and met various people in the town including Nobuaki Nitta san, a department chief at Regional Planning Management Division of Anamizu Town municipal government.
We stayed with his family and enjoyed conversation with them while we drink sake. On the next day, he took half a day to introduce us Anamizu area and the “living in a rural / countryside Anamizu Town” trial migratory program.
So, last December, in order to deepen our actual living experiences in a rural area in Japan, we contacted Nitta san and decided to go back to live in Anamizu for two weeks in January 2011.
Anamizu is a town by the Gulf of Nanao and on Noto Peninsula in Ishikawa Prefecture*.
Even though Anamizu is a great countryside to live in, Anamizu’s population is now 9,918 (as of Aug. 2011). Its population is decreasing year by year. There are lots of rural areas in Japan where younger people are leaving their hometown due to its less employment and work in the areas.
Usually, younger people who grew up in countryside leave their hometown to much bigger cities for work.
Some of them may come back, but most of them stay in city areas and don’t come back to their hometown or come back when they get retired from work after over 60 years old.
Younger people see that, “there are greater work opportunities in cities such as Tokyo; work = city, not my rural hometown.” There may be less employment, but I believe that there are opportunities to create new work.
If rural areas don’t try to create and start up a new business or find some ways to bring back people, those rural areas will fall into ruin and become a ghost town. Outflow of rural / countryside population directs to higher concentration of people in city areas, especially Tokyo, while decreasing population of rural areas.
At the same time, it will eventually result to shut down of local businesses in rural areas. When young generation originally from rural areas decide to come back to their hometown, there will not be anything left in their hometown…
People need to change their perspective to see rural areas of Japan and realize that work can be somehow created; rural areas are more than those big cities such as Tokyo, Osaka, etc.
*Ishikawa Prefecture is located on “Sea of Japan” coast and its prefecture’s most of northern part is Noto Peninsula.
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