2010-11 Backpacking Shikoku Islands - 四国・瀬戸内海の島々へのバックパッカー旅

day 26.5 香川県 伊吹中学校で語る日本とアメリカの教育の違い

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バックパッカー 中川生馬 講演

2010年11月12日(金) – ぼくら田舎バックパッカー夫婦は現在、香川県の瀬戸内海に浮かぶ伊吹島の伊吹小中学校にいる。

学校は、海の目の前にあり思わず窓から景色をずっと見ていたくなってしまう。

「怪しい」ぼくらは藤代さんから、伊吹小中学校の校長先生 山本忠由さんを紹介してもらい、ぼくらの旅の理由や田舎の学校教育への興味について話し、校長先生に学校を案内してもらった。

現在、伊吹小学校には14人、中学校には9人の生徒がいる。

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【伊吹島 伊吹中学校の英語の授業。英語でクリスマスソングを楽しそうに歌う生徒たち】

校舎の3階を中学校が使用している。中学2年生(3人)の教室は英語の授業中。

生徒3人と先生がクリスマスの音楽を歌っていた。

この教室を通り過ぎ、ぼくは山本校長先生に、自分がアメリカのオレゴン州の高校と大学に合計約8年間、留学していたことを話した。

その話が聞こえたのか、英語の高木浩子先生が教室から廊下へ出てきて、ぼくに「せっかくですから、是非、アメリカでの経験について話してくれませんか」と尋ねてきた。



 

伊吹島中学校で急きょアメリカでの経験を話すことに

もちろんぼくは、OKさせていただき、中学2年生3人、山本校長先生、英語の高木先生の前で、アメリカに行った理由、日本とアメリカの教育の違いなどについて、話し始めた。

まず、ぼくがいたアメリカ・オレゴン州の場所を世界地図でみんなに教えた。

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【まずは地図でオレゴン州の位置を確認】

 
オレゴン州は、アメリカ西海岸沿いにある州で、サンフランシスコやロサンゼルスなどの都市で有名なカリフォルニア州と、イチローがいるシアトルの都市があるワシントン州の間に位置する。

オレゴンは、大自然がダイナミック、ぼくのお気に入りのスポットは、オレゴン州南部に位置し、アメリカで最も深く世界では7番目に深い、最深597メートルのカルデラ湖「Crater Lake(クレーターレイク)」。

オレゴン クレーターレイク oregon craterlake

【オレゴンのカルデラ湖 Crater Lake(クレーターレイク)日本では、フジテレビのテレビ番組「オレゴンから愛」で、オレゴンが一躍有名になった。】

「オレゴンから愛」は、1984年に連続ドラマとして、その後1985年から1990年まで年に一度の単発ドラマとして放送された。

1991年以降、「オレゴンから愛」は1992年と1996年に放送されている。

大自然の北海道を背景にした「北の国から」のアメリカ版のような番組だ。



 

アメリカへ行くことになった背景

ぼくは小学校高学年のころから、父親から「中学校を卒業したら、生馬はアメリカへ行くんだぞ」と言われていた。

しかし、ぼくは、「友達もいないし、誰も知らないところに行きたくない」と嫌がっていた。

中学2年~3年になり、実際オレゴンに行き、「おもしろそう」とぼくは純粋に感じ始めていた。

そして、みんなと違う道に行くのもおもしろいと単純に思えたのだ。

当時、ぼくはテニスに、かなりはまっていたので「アメリカはテニスが強いから、テニスコートがある高校ならどこでもいい」、「テニスのナンバーワンプレーヤーだったサンプラスやアガシなど、アメリカ勢が強い」などと思い、そんな単純な理由から、アメリカ行きを決心した。

「英語を勉強したいから」、「将来、英語が役に立つから」などと少しは思ったが、その時のぼくは、そこまで深く考えてなかった…

そんな単純な理由と両親のプッシュにより、ぼくは、アメリカに行くことになったのだった。

さて、ここからが本題。



 

アメリカと日本の教育の違い

まず、日本の教育について紹介しよう。ざっと言うと、日本の教育上、先生は生徒全員に、同じ「答え」を教え込む。

「教科書積みこみ式」の教育システム。全てに関する回答が「一つ」のため、新たな答えや創造力を身につけることが難しい教育。

日本の教育からは、「一つ」以外の意見を受け入れることが、難しい「人」がうまれてくる。

「これが普通だろ」の考え方を多くの人が持ち、それ以外を意見する人は、「普通じゃない」部類になってしまう。

ある意味、みんな統一感があって、良いかもしれないが、ぼくは、日本の教育に魅力を感じることができない。

例えば、日本の国語の授業で、「この作文を読んで、作者の意見をア~エから選びなさい」という問題がある。

ぼくは、自分なりの理由で「ア」を選ぶ。

しかし、先生が選んだ理由が、「エ」の場合、ぼくが選んだ回答「ア」は、不正解となり、完全却下となる。

これが10点の問題だとすると、0点の評価だ。例えぼくが「ア」を選んだ理由を先生に伝えても、2点や3点の少しの評価でさえ、もらうことができない。

まず、第一に、そもそも先生が、その作者の意見を明確にわかるはずがない。

第二に、なぜぼくなりに考えて選んだ回答が、先生と一致した回答でないと不正解とされるのか。

「なぜ、先生や他に正解した生徒と同じ」でなければいけないのか…おかしな点である。

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【アメリカ史の授業でテストの回答について先生と議論する生徒たち】

このような教育を長年されたぼくらは、「自分の意見は大したことない」、「自分の意見はいつも間違っている」と、いつの間にか自分を過小評価し、「またどうせ間違っているから、自分の意見を言うのを辞めよう」と「発言に対する恐れ」を覚えてしまう。

これが、小学校6年間、中学校3年間、高校3年間…計12年間これが積み重なって、教科書丸暗記生徒が増え、「自分で考える」ことができなくなり、創造性に乏しくなる。

先生が、「この答えは何でしょう?」と聞いても、手を挙げることが少なく、授業中も大変静かだ。

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【伊吹島 伊吹小中学校の授業の様子】

そんな教育を背景に考えると、「日本人は意見が少ない」と言われても仕方がない。

日本人の低い創造力の原因は、教育からきていると考える。



 

アメリカの教育はどのようなものなのだろうか

アメリカの教育は、生徒個人を尊重し、生徒個々の考え方の自信を高め、個々を伸ばすことを前提にしている。

個人それぞれ違う考え方を持っているのが当前。

それが前提にあるので、あらゆる意見を先生が認めて、個人を高めてくれる。

自分が回答した意見を論理的に伝えれば、先生が正解の評価をしてくれるのだ。

アメリカの学校で、上記で述べた国語のテストで作者の意見を問う質問があったとする。

自分なりの考えで「ア」を選び、先生の回答は「エ」。

ここで、先生に対して、自分が「ア」を選んだ理由を論理的に伝えると、先生は満点をくれる。

満点をくれない場合もあるが、3点、5点、7点など、多少の点数で評価してくれる。

自分の意見が評価されることにより、「自分は少しでも適切な回答を発言している」という、気持ちになり、自分に対して自信がつく。

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【アメリカ史の授業で。テストを返され、まずは生徒に採点内容を確認させる。何か疑問があったら、上の写真のように先生にテストを持って行き、採点交渉が行われる。】

アメリカ史の授業では、論文に関するテストで、「正解」がわからなくても、自分なりの意見を一文~二文書いて、それに対する論理的な理由を適当に書けば、少しでも点数がもらえるのだ。

数学で、5×7の問題があったとする。

正解は35。しかし、先生の手書きのテスト用紙で、7が9に見えて、45と答えてしまった。

先生に、「7が9と読み間違えた」と伝えると、満点をくれるケースもある。

このように、自分の意見を尊重してくれる教育システム。

そして、テストだけでなく、授業中の生徒個人の発言も評価の大きな対象となるのだ。



 

自分の意見を発言する

自分の発言も成績評価の対象となるため、授業中は、皆、手を挙げて常に発言をする。発言しなければ、先生が評価をしないのだ。

テストで満点または90点以上採り続けても、授業中に発言をしないと、5段階中、4の場合もある。

テストや数字が全てではない教育システムだ。

個々を育てる教育システムで、自分の意見が大きく成績に反映される。

こんな教育システムなので、常に自分の意見をお互い言い合って、議論している。

そんな教育システムを知らないぼくが初めて参加した授業は、Religion(宗教)だった。

ぼくは無宗教だが、キリスト教の高校だったので、宗教の授業があった。初めての授業はとにかく、うるさかった…

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【アメリカの高校の授業の様子】

Freshman(高校1年生)が、みんな手を挙げて、自分の意見を発している。

先生は、みんなの意見をまとめるのに精一杯の状況だった。日本でこんな雰囲気のクラスはあるのだろうか。

もちろん日本の中学を卒業したばかりのぼくには最初、こんな授業スタイルについていけなかった。

最初は、「うるさい」と思っていただけだったと思う。

高校の時は、自分の意見を言うことが大変だった。授業中も、みんなが意見を言う中、黙ってしまうことが多々あった。

途中から、自分をもっと出さなければと思い、少しずつ言い始めた。

アメリカ人の友だちをつくることも大変だった。初めてアメリカに行ったとき、きっと、日本人が珍しいから、ぼくはみんなに集られると期待していた。

しかし、みんなは、日本人に慣れていて、ぼくが日本人だろうと気にしない。

この高校には、日本に姉妹校があり、その姉妹校から1年間の交換留学として、毎年約20人日本人が入学する。

1年目は、彼らとかたまり、アメリカ人との友達が作れなかった。テニス仲間も数人いたが、テニスをするだけで終わっていた。

2年目からは、「このままアメリカにいても何も学ばない」と思い、日本人から離れ、積極的にアメリカ人の中に入りこもうとした。

留学1年目に付き合っていた日本人生徒たちが帰国し、1年目と異なる交換留学生が入れ替わりで入学するので、基本彼らとは話さずに過ごした。

そして、ホームステイ先の人たちとも、もっとコミュニケーションをとるように、自分の部屋で一人、テレビを見たり、本を読んだり、音楽を聴いたりすることをせず、常にリビングで話をするように努力をした。

これを大学1年の1学期まで続けた。正直、寂しいと感じたこともあったが、その気持ちに負けずなんとか頑張った。

大学に入学したときは、ドーム(寮)での生活だったので、積極的に自分を紹介して、友だちをつくった。

大げさに言えば、校舎内外10メートル歩けば、誰か知っている人が歩いていた大学時代だった。

ぼくにとって、現地でうまくやっていく重要な秘訣は、「笑って楽しそうにすること」と「自分から何とか入り込もうとする積極性」だった…

とにかく、最初に苦労したことは、自分の意見を言うことや、友達を作ることだった。

毎日の授業の復習、読書のページ数、論文のページ数などが半端なかった。

復習に関しては、毎日放課後、先生たちのところに行き、(ほとんど全てだったが)わからなかったところを必ず聞きに行った。

そんな、アメリカに最初行った時の話やアメリカの教育システムについて、できるだけ簡単に話をした。

その後、質問時間となった。「英語を話せるようになるまで、どれくらい時間がかかりましたか?」と、将来イリコの漁師になりたい中学2年生の友成(ともなり)くんの質問があった。

ある程度と思うレベルまでは、2~3年以上かかった。

ぼくは、日本語を話すことを避けて、自身の周りを英語でコミュニケーションする人のみにして、無理にでも英語漬けにした。

いくら友だちがいなくても、日本語を話さない。積極的に話す環境をつくらなければ、上達しないと話しを続けた。<続きはこちら

<前回のストーリー 『 day 26.4 伊吹小中学校の校門前で、“伊吹島(香川県)のお母さん”藤代さんと“怪しい”ぼくらバックパッカーの出会い 』>

<次回のストーリー 『day 26.6 香川県 伊吹島 少人数の学校のメリット。島を元気づけるために 』>

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