2010年11月11日(木) – ぼくら田舎バックパッカーは、伊吹島に着いた。もうあたりは、真っ暗。
電灯がほとんどなく、懐中電灯で辺りを照らさないと、先の道が見えなかった。この島の道は、坂が多い。
坂が多いところは、坊勢島(ぼうぜじま)と似ているが、坊勢島のように細々した迷路のような小道は少なく、複雑ではないような感じだ。
ぼくらはとりあえず、定期船内で先生に教えてもらった、現在使用されてない小学校へと向かい、暗い校庭でテントを張り、夕飯を作り始めた。
ご飯を作っていると、猫が寄ってくるが、懐かれるとよくないので、ご飯はあげずに放っておく。
今夜の飯盒(はんごう)での炊飯などの料理は結花に任せる。飯盒炊飯を結花に任せたのは、今回が初めてだと思う。
ぼくは今日昼間から体調を崩し、まだ少し熱がある。体外に悪いものを出そうと、水をがぶ飲みし、横になって寝始めた。
ぼくはいつも、風邪がひどくなる前に、一気に大量の水をがぶ飲みして、体内から悪い物を出そうとする。
オレゴンでの“夢”
さて、「風邪で熱があったとき」と言えば…一度、こんなオレゴンでの出来事があった。あれは「一度」で十分な出来事だった…
アメリカのオレゴン州で高校時代を過ごした頃のある日、友達の梅木一人(かずひと)(カズ)のホームステイ先に泊まりに行った。
あれは…アメリカに行き、1年目後半もしくは2年目に入って間もない時だったと思う。
【オレゴンでのホームステイ先の家。ノースウェスト・ポートランド】
当時、ぼくはテニスばかりしていた。その日の昼間、ぼくは、テニスをしないカズを、一日中テニスに付き合ってもらい、5時間ぐらいテニスをした。テニスコートが、カズの家の隣にあったことを覚えている…
その夜、カズのホームステイ先の夫婦のKaren(カレン)さんとDenis(デニス)さん、ぼくら二人は、Beaverton(ビーバートン)市内のMcMenamins Pubs & Breweries(マックメナミンズ パブ アンド ブリュワリー)に行き、ハンバーガー、フレンチフライなどの夕飯を食べた。
Beaverton(ビーバートン)と言えば、Nike(ナイキ)の本社があることで有名な都市。ぼくとカズは、16歳の未成年だったので、ビールなどは飲んでいない。アメリカのバーやスーパーなどでは、身分証明書を見せて自身が21歳以上を証明しないと、ビールなどのお酒類を販売してくれない。
おそらく、ぼくらはまだ、お酒の中でもビールを美味しいと感じてなかった時期だったと思う。まぁ、そんなことはともかく…
【Peter と Barbara。My host parents in Oregon.】
ぼくらは、McMenaminsからカズの家に戻り、映画などを見て、ゲスト用の部屋がなかったので、ぼくはリビングで寝た。その夜中が、「げっそりした夜」の初日だった。
ぼくは一人、夜中に体調を崩した。Denisさん、Karenさん、カズを起こすのは申し訳なかったので、一人で何とかその場を切り抜けようとした。苦しい嘔吐がとにかくひどかった。
しかも…我ながら、申し訳なかったことは…吐くときにトイレに間に合わず、台所の流しで、数回、吐いてしまった。吐くことも必死だったが、台所の流しを詰まらせないようにすることでも必死だった。
必死で、吐いた物を、流しに「無理やり押し込み流した」感じだった。汚い話だが、おそらく、これくらい、誰にでも経験があるかと思う。
翌日の悪夢
さて…、事態がさらに悪化したのは、翌日だった…
翌朝、38°以上のひどい熱だったので、自分のホームステイ先に戻った。ぼくのホームステイ先の夫婦は、Peter(ピーター)とBarbara(バーバラ)。
Peterはやんちゃ、芸術家、釣り好き、パン職人。彼は、週末になるとオレゴン北西の海岸沿いにある町Pacific City(パシフィックシティ)のPeterのお母さんの別荘に行き、のんびりしたり、釣りを楽しんでいる。
Barbaraはものすごく心配性で、常に何らかの心配をしている。ひどいときは、不安発作(anxiety attack)が起きてしまうほど。例えば、ぼくが、友達とスノボーにバスで出かけようとすると、「雪の中、バスが転倒したらどうするの?」と、とんでもなく当り前な質問で、高校生のぼくに、英語では返答しづらい質問を投げかけてくる。
悪夢から襲った出来事はこの夜に起こった。ぼくは単純に寝ぼけただけの話だが…
ぼくは、Barbaraに心配されながらも、ゆっくりと寝始めた。Barbaraは心配性なので、「水を飲みなさい」と、ぼくの部屋に入り、ぼくに水を飲ませるために、夜中1:00に起こす…
心配してくれるのは大変ありがたいが…熱がひどく、ぼくとしてはゆっくり休みたい。夜中の1:00だ。何と言うか…、少しイラッとする。そしげ、ひどい事態はここから始まった…
ぼくは、起こされた時、これまでにない怖くて悪い夢をみていた。(とは言ったものの…夢の内容は覚えてない) 水を飲み、急に怖くなってしまったぼくはまず、リビングに行き、映画を見ていたPeterの手を握り締め、「Help, Peter! Help!(助けてよ、ピーター!)」とPeterに何らかの助けを求め始める。
【Peter と ぼく(犬はミニチュア・シュナウザー4匹)。Peter and me. They had four Miniature Schnauzers (at the time).】
そう、ぼくは、悪夢を見たまま、現実に入り込んでしまい、パニック状態となっていた。Peterはただ、にやにやと笑う。そりゃそうだ。おそらく、ぼくでもそうしただろう。
しかし、単純に夢の延長にいたぼくとしては、とんでもない状況だった。とにかく、怖かったのだ。ぼくは、Peterに対して「この人何もしてくれない」と判断し、台所にいるBarbaraに、なぜか日本語で話し始めた。Barbaraはもちろん英語しか理解できない…
心配性なBarbaraは、“What should I do?”という状況になり、911にダイヤルして、こんな夜中に救急車を呼んでしまったのだ。
しばらくすると、家の周辺は、救急車の赤い点滅の光に囲まれた。救急隊員が、ぼくに“Are you ok?”などと話しかける。
救急車が到着したころ、ぼくは、冷静さを取り戻し、我に返ったので、「やばいなぁ。救急車に乗ると、100ドル以上かかるぞ」などと思い、“It’s okay. I don’t need to go to a hospital”などと返答し、救急車に帰ってもらった。
…という、とんだ「寝ぼけ」から救急車を呼ばれ、迷惑をかけた夜中だった。
伊吹島到着の初日、ぼくはこんなことを思い出しながら寝たのだった。<続きはこちら>
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