2011.02: <九州>福岡県(小呂島)・長崎県(池島・五島列島)

day 90.1 五島列島 野崎島 風を操る“遊船人”的ライフスタイルの菊池さんとの出会い ~無人島に2週間 海の上を拠点にする旅スタイル~

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五島列島 野崎島 菊池幸紹

2011年2月9日(水) – 前回の話しの続き。

ぼくらは、小値賀島(おぢかじま)から野崎島(のざきじま)に入った。

野生の鹿(ニホンジカ)400頭のみが住む無人の野崎島の港には、一隻のヨットが停泊している。小値賀からは今朝、ぼくらが乗ってきた船しか出ていないはずだ。

気になるヨットにはソーラーパネルが、ヨットのすぐ側にはアンテナが設置されている。

五島列島 鹿400頭だけが住む野崎島で“遊船人”的ライフスタイルの菊池さんと出会う。“出会い”には本当に縁が強いぼくらバックパッカー

ぼくらが話しかけないわけがない…

こんにちは!」と挨拶をすると…

なんとこの人!船乗りの旅人だ。冒険家っぽい人だ…

これは面白い…!昨日の朝、ぼくが語った“理想のライフスタイル”の一人になりそうな人だ。(その話しはこちら

海の上を旅する“船”の遊牧民…“遊船民”というところだろうか。海と陸をスピーディーにかつスローに…旅するスタイル。拠点と移動手段のベースになっている船…おもしろいスタイルの発見だ。

五島列島 鹿400頭だけが“住む”野崎島で、ヨットを拠点とする旅人と出会う。外見はジョージ・クルーニーっぽいね

彼の名前は、菊池幸紹(きくち ゆきつぐ)さん。外見は…“日本版ジョージ・クルーニー“ってところだろうか。

菊池さんは、船でもろもろ過ごすことが多く、野崎島には今日まで2週間ほど滞在している。何度も野崎島へ来ているそうだ。菊池さんが薦める島の一つに野崎島もあるが、甑島列島(こしきじまれっとう)も“お薦め島”の一つ。

船の中には、トイレやシャワーも設置されている。シンク(流し)もある。調理場もある。船が家になっている状態で、「この船に住める

まさに海の上で流れにまかせたヨットを拠点/家とする“遊船人”だ。

よかったら中に入ってコーヒーでも飲んで行きませんか?」と菊池さんは、ぼくらをご近所さんかのように、船内へと招待してくれた。

船内の見学だけでなく…「コーヒーでも飲んできませんか…」とまで言われるとは思わなかった。“船の旅人…”+“船でのライフスタイル”…ぼくらは「ありがとうございます!是非是非!お話しを聞かせてください!」っと、遠慮なく、中に入れさせてもらった。

菊池さんの旅スタイルのメインはこのヨット。菊池さんは、パラオまで、約2週間かけて、この船で行ったそうだ。友人の船で、1カ月かけて、ハワイへも行ったことがある。

燃料も使うが、風も操る。ほとんどの風は、東から西に吹いているそうで、季節風、貿易風などを使って、海上を走りまわる。

風を操り、海の上を旅する…いいなぁ~…このスタイルも楽しそうだ。

■“遊船旅”スタイルに興味あるぼくらは、いろいろと船の装備について聞いてみた…

新品の船は、約2300万円。中古の船だと、約900万円するそうだ。菊池さんの船は、美品だ。船舶の安全備品でも費用がかかる。

遭難信号を発信することができ、衛星を介して通信できる無線機、水や食料などの非常食など、船のサイズによって装備しなければいけない安全備品が変わってくるそうだ。

「船検(せんけん)」(船舶検査)もある。クルマではいわゆる車検のようなものだ。

3年に一度の中間検査や、6年に一度の本格的な船検があるそうだ。料金は約1万円。

五島列島 野崎島で菊池幸紹さんから話しをきいた。二人の頭の上にぶら下がっているのはノートPCと接続されているPCの外部接続モニター。モニターの角度を調整することで、GPSと連携している世界地図などPC画面を、ヨットのデッキ(外)でも見ることができるのだ。菊池さんのように、船でPCを活用しているところをみると…PCが爽やかに見えるよね。

世界地図をインストールしているノートパソコン(PC)も船に積み、PCにGPSレシーバーを差し込み(USB接続)、現在地を確認できるようにもしている。インターネットを使うときは、携帯電話を介して接続する。

船の入口付近 天井に、角度を調整できるPCの外部接続モニターを設置している。モニターの角度を外のデッキエリアに向けられるので、操縦をしながらPCの世界地図を見ることができる。

PCの活用方法もいろいろあるものだ。菊池さんのように、船でPCを活用しているところをみると…PCが爽やかに見えるよね

五島列島 野崎島 船の中は、陸の家とほとんど同じ。トイレやシャワーもある。おもしろい旅スタイルだ

電気は?エンジンからの電源供給の他、ソーラーパネルを船に積んでいて、エンジンのメインバッテリーとは別のサブバッテリーから電気の供給ができる。

折りたたみの自転車も積んでいる。船を停泊し、陸地に上がった時に、遠出できるので便利だ。

洗濯は、水が使えるところで、可能な限り手でおこなう。

トイレの水には海水が使用され、排出物は海に流される。

が落ちた時のために、アースも搭載している。

ラジオも積んでいる。NHKラジオの世界の旅に関する番組も聞いているそうだ。

五島列島 野崎島 こんな感じで釣り竿がセットされている。魚を釣れば“食”にこまることはなさそう。一時的に船を港に停泊したとき、船に積んでいる折りたたみ式の自転車を使えば、野菜やそのほか食材を調達できるね

食料ももちろん積んでいる。自転車を使って、スーパーへ行くこともできる。魚を釣って調理もしている。釣りすぎたときは干して保管。後で食べることもできるし、お土産としてプレゼントもする。釣り竿が、外のデッキに置かれていた。

日本や海外を船で旅するとき、船を停泊できるマリーナもあるが、料金が約8000円と高い。これまで多くの海外へ行ったようだが、日本のマリーナが一番高いそうだ。

船を一時的に停泊・係留する場合、通常、地元の漁協(や自治体)によって、管理体制が異なる。漁協に本来問い合わせたほうがよいそうだが、漁師さんに尋ねることも。

漁師さんによっては、親切に「もっと船を奥に入れていいよ」と声をかけてくれる場合もあるそうだ。しかしながら、管理している漁協が困った顔をすることもあるんだとか。また、「費用なしで停泊」できるケースも多々あるそうだ。

まぁ、どちらにしろ、地元の管理関係者に、仁義を切るなりしたほうがよさそうだ。ぼくの想像だが…田舎に行けば行くほど、そのあたりは、暖かく迎えてくれる関係者が多そうだね。

菊池さんは、58歳から、この船を活用して、このような過ごし方をしている。家族もいるが、一人でヨット旅をすることが多い。海上自衛隊に7年属していた。その後、電気工事の自営業を営む。ダイビングもするそうだ。

また、NPO法人大村市馬場先ボートパーク自主管理会の代表(出会った当時)も務めているそうだ。船の管理だけでなく、子どもたちが船での活動を体験することができる場も提供している。

五島列島 野崎島 静かな島に一隻のヨット。この島での一日を送る。野崎島での夜はどんな感じなのだろうか… 一度この島のどこかでテント泊をしてみたいものだ

■旅人の施設に関する話しにもなった

日本には“旅の施設”のカテゴリーが少ない。高額なホテルや旅館だけでなく、“旅人の施設”をつくることで、旅行者は宿泊費を節約することができる。高知県宿毛の道の駅「すくもサニーサイドパーク」で“優しい旅人哲学”をもつお好み焼き屋『もくもく屋』の平田さんとの熱い旅人トークを思い出す…(こちら

安価で気軽に宿泊できる旅人用の施設などの環境設備を整え、充実させることで、宿泊先だけでなく、より幅広い“旅先の地元”にお金が落ちて、地域の発展へとつながる。

また、人工的な施設だけでなく、野崎島のように自然との「遊び場」を充実させることで、自然の大切さについて学ぶこともできる。

高級ホテルでの「宿泊」にだけでなく、自身が本当に楽しいと思えること「遊び」にお金をかけなくては、人生楽しくないよね

「寝られてトイレが近くにあればいい。宿泊先じゃぁなくて、旅先で地元の人たちと交流隠れ場的観光スポットでの“遊び”にお金をかけたい」と思っている人たちも、きっと沢山いるよね。

そんなこんなを話し、菊池さんの船でのんびりすること…約1時間半が経ってしまった。

大変ありがたいことに、昨日釣れたスルメイカと鯵(アジ)の干しものをお土産にいただけるとのことだったので、野崎島 散策後、菊池さんの船に再度、立ち寄ることになった。

菊池さんの船に積んであった、ソーラーパネルを見ていると、つい1週間前に訪れた宇久島の風力発電とその問題点について思い出した。発送は単純だが、風力発電が問題であれば、ソーラーパネルを設置してみてはどうだろうか…と、ふっと頭の片隅で思った。

野崎島に到着してからぼくらバックパッカーは港から出ていない…

そろそろ野崎島内を散策しよう…

っと思ったら…なんともウン悪いハプニングが…(続きはこちら

<前回のエピソード 『day 90 鹿400頭だけが住む五島列島の野崎島へ ~無人島でのミステリアスな“船旅人”との出会い~』>

<次回のエピソード 『day 90.2 五島列島 野崎島 世界遺産暫定リストの教会群の一つ「野首天主堂」での…とんだ“大きな”ウン悪いハプニング』>

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1979年1月生まれ、東京生まれ鎌倉と米オレゴン育ち。鎌倉の中学校卒業後、オレゴン州の高校と大学を卒業。現在、石川県鳳珠郡穴水町岩車在住。ソニーやPR会社で広報業務に約10年間携わり、2010年10月、ライフスタイルの選択肢を増やすべく、日本の田舎/地方を中心に、テント・寝袋・自炊道具などを担いだバックパッカー旅を開始。以後2年半にわたり旅を続ける。「テント」ベースから、2012年5月以降は「バン」ベースのバックパッカーになりバンライフ開始。2013年5月、人口約100人の限界集落 能登半島・石川県穴水町岩車に移住。現在は、「田舎への旅」と「田舎でのライフスタイル」の二つを軸に、田舎旅やライフスタイルの情報発信、都市部の人たちが能登の暮らしを体感できる「“ざっくばらん”な田舎ライフスタイル体験」の提供を行なうほか、東京のスタートアップ/ベンチャー企業、移住先・能登や静岡県の中小企業の広報サポート、地域活性プロジェクトサポートにもリモートワークで従事。また、ブログやウェブ制作、写真、執筆活動なども行なっている。移住先で自宅がある岩車の隣の地区 穴水町川尻では、シェアハウス・サテライトオフィスなど多目的・多機能の「田舎バックパッカーハウス」、そこに併設する“住める駐車場”であり長期滞在可能な車中泊スポット「バンライフ・ステーション」も運営。現在、東京の“バンライフ”のCarstay(カーステイ)で広報責任者として関わりつつも、静岡県島田市で幻のきのこ“はなびらたけ”「ホホホタケ」を生産する大井川電機製作所、石川県輪島市では国産漆だけでアート作品をつくる“芯漆(しんしつ)”の山崖松花堂などの広報を担当する。移住先・石川県穴水町岩車で育てられた牡蠣の販売もサポートする。

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